2015/12/14 国交省/技術者専任配置の金額要件緩和を再検討/杭工事問題再発防止策踏まえ

【建設工業新聞 12月 14日 1面記事掲載】

国土交通省は、監理・主任技術者の配置を求める建設工事の金額要件のあり方を再検討する。当初、ここ数年の物価上昇や消費増税などを踏まえて金額要件を緩和し、来年4月の施行を目指して建設業法施行令の規定を見直すことにしていた。横浜市のマンション傾斜に端を発した基礎杭工事のデータ流用問題で、年内にまとめる再発防止策に向けて現場の技術者の役割などが検討されていることから、その結論を待ってあらためて検討することにした。

建設業法に基づき元請業者、下請業者に監理技術者や主任技術者の専任配置を求めているのは、公共性のある施設など重要な建設工事で請負金額が2500万円(建築一式は5000万円)以上の工事。元請に監理技術者の配置を求める工事は、下請工事の合計金額が3000万円(建築一式は4500万円)以上としている。

国交省は当初、これらの配置要件を規定する施行令の改正を秋に閣議決定し、来年4月から施行することを目指していたが、杭工事問題を受けて、あらためて検討することにした。

金額要件以外に予定していた施行令の改正については、11日に閣議決定した。

改正建設業法では、新たな許可業種区分として「解体工事」を追加されており、この規定の施行日を16年6月1日と決定。これを受けて今後、解体工事の許可を申請する場合に必要となる技術者の資格者要件など詳細事項を省令や告示によって定めることになる。

加えて、施工に関する国家資格である2級技術検定の学科試験について、受験可能年齢を大幅に引き下げる。施行令には、工業高校生、普通高校生に限らず高校2年生に相当する17歳以上であれば受験できるようにする規定を新設した。これまでは、工業高校の指定学科で学ぶ生徒に限り、3年生から受験できるとしていた。

石井啓一国交相は同日の閣議後の記者会見で、今回の措置の導入により、「建設業界への若手の入職促進と定着を図れるようにしたい」と述べた。

対象は、土木、建築、電気、管、造園、機械のすべての種目。今月末にまとまる16年度の技術検定の試験計画に、今回規定した措置を反映させることになる。

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