2016/03/07 国交省/生産性革命本部が発足/直轄大規模土工、ICT活用を原則化

【建設工業新聞 3月 7日 1面記事掲載】

国土交通省は7日、建設をはじめ同省所管分野の生産性を向上させる具体策を話し合う「生産性革命本部」を立ち上げる。重点プロジェクト候補として、土木工事に情報通信技術(ICT)を活用する「i-Construction」など計8項目を列挙。他省庁や民間への普及も目指す。i-Construction推進に向けては、まず4月以降に発注する大規模土木工事でICTの全面活用を原則化。3月中にICTを使う作業の技術基準類と工事の新積算基準を整備する。

石井啓一国交相が4日の閣議後の記者会見で発表した。

石井国交相は生産性革命本部を設置する理由について、2030年まで生産年齢人口が毎年1%ずつ減っていくことを指摘。その上で、高度経済成長期の労働力人口の伸び率が平均1・4%だったことを挙げ、「労働者数が減っても生産性が上がれば経済成長を確保できる。国交省は国民経済・生活の基盤である社会資本整備などの生産性向上に取り組むことで、持続的で力強い国の経済成長に貢献できる」と強調した。

生産性革命本部で当面の具体策を話し合う重点プロジェクト8項目のうち、建設分野では、4月以降に発注する大規模土工でICTの活用を原則化。ICTを活用するかどうか判断する大規模土工の価格帯などの線引き基準を今後詰める。

これに備え、国交省は月内に土工でICTを活用する測量や点検といった作業について計15種類の技術基準類を新設(7種類)・改定(8種類)。ICT建機のリース料を含む工事の新積算基準を整備する。

月内に整備する技術基準類のうち、土工施工管理基準の出来形管理基準の改定案を見ると、現在は特定の代表管理断面での長さ・高さを測定することになっているが、改正後は小型無人機(ドローン)などによる多点観測を前提とする。これに伴い施工実態をより正確に踏まえた面的な施工精度を効率的に測定できるようになるとみている。

国交省は、今年を「生産性革命元年」と位置付けている。今後、業界団体などの意見も踏まえながらi-Conなどを推進していく。

3月中に新設・改定予定の15技術基準類は次の通り。
【新設(7種類)】
△3次元設計データを契約図書とする通知文
△空中写真測量(ドローン)を用いた出来形管理要領土工編
△レーザースキャナーを用いた出来形管理要領土工編
△空中写真測量(ドローン)を用いた出来形管理の監督・検査要領土工編
△レーザースキャナーを用いた出来形管理の監督・検査要領土工編
△3次元設計データ交換標準
△ドローンを用いた公共測量マニュアル(案)
【改定(8種類)】
△土木工事施工管理基準(案)出来形管理基準及び規定値
△土木工事数量算出要領(案)
△土木工事共通仕様書施工管理関係書類(帳票・出来形合否判定 総括表)
△地方整備局土木工事検査技術基準(案)
△既済部分検査技術基準(案)及び同解説
△部分払における出来高取扱方法(案)
△電子納品要領
△工事成績評定要領の運用。

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