2016/03/10 国交省/16~17年度で国債700億円確保/年度末の工期集中回避

【建設工業新聞 3月 10日 1面記事掲載】

国土交通省は9日、12カ月未満の比較的短い工期の直轄工事に設定する2カ年の国庫債務負担行為の規模を16~17年度分として約700億円確保したことを明らかにした。15~16年度の約200億円の3倍強の規模となる。3月に工期末が集中するのを回避し、閑散期とされる4~6月の施工量を確保する。年度当初に数十万人規模で遊休が発生している技能者や機材投入を平準化することで、生産性の向上につなげる狙いだ。直轄工事と同様の取り組みを自治体にも呼び掛けていく。

国交省は、改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針に基づき、15年度から施工時期の平準化に向けた取り組みを本格化。舗装工事や築堤・護岸工事などを対象に2カ年国債を設定するほか、翌債などの明許繰り越し制度を活用するなどして、4~6月に工事量が少なく、下半期に多いといった偏りを是正することにした。

工期が12カ月未満の直轄土木工事は年間で数千億円に上り、このうち、700億円を2カ年国債で発注すれば、相当の規模で施工時期を平準化できる。今回の設定枠のうち、16年度分は300億円、17年度分は400億円の支出となる。

施工時期の平準化に向けて国交省は、昨年12月に同省所管事業での計画的な事業執行を推進することを地方整備局などに文書で指示。加えて、自治体に対しても、総務省と連携した要請を行っている。

債務負担行為の積極的な活用は、単年度主義をベースにした予算の概念を大きく転換する効果を持つ。施工時期を平準化し、品質にも大きな影響を及ぼす工期を適切に確保することができれば、工事の生産性や安全性の向上にもつながると期待されている。

国交省は、直轄工事で進める2カ年国債の拡大などの取り組みを、公共工事全体の約7割を占める自治体の発注工事でも進められるよう、各ブロックの地域発注者協議会で周知するほか、公共工事入札契約適正化法(入契法)を活用して要請していく方針だ。

試算によると、4~6月期の遊休技能者による生産可能量は年間の約1割に相当するという。

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