2016/03/25 脇雅史参院議員/「不当な利益」上げたのか/参院国交委で東北の舗装談合めぐり疑義

【建設工業新聞 3月 24日 1面記事掲載】

脇雅史参院議員は23日の参院国土交通委員会(金子洋一委員長)で質問に立ち、公共工事での談合をめぐって持論を展開した。東日本大震災の被災地の舗装工事で談合があったとして独占禁止法違反に関与したとされる各社が起訴されたことについて、「公正な取引を阻害していることに問題があったとしても、テレビや新聞の報道にあるように不当な利益を上げていたということが引っかかる」と指摘。上限拘束性のある予定価格の範囲内での契約に疑念の目が向けられる現状を批判した。

脇氏は95年1月の阪神大震災直後に当時の建設省近畿地方建設局長として赴任し、復旧・復興を陣頭指揮した。その経験から「被災地では道路を一日も早く直すことが先決。現場で数量も拾えない状態の中でも工事を発注せざるを得ないが、事後に精算すれば済むことだ」と強調。その上で「日本の建設業界は自分のことを忘れて復旧に当たってくれる。その中で(談合で)受注金額を不当に引き上げ、不当な利益を上げようとしただろうか。そうした指摘に疑問がある」と述べた。

予定価格とは何かとの質問に国土交通省は「労務費や資材費、企業の利益の標準的価格として発注者が設定する」(池田豊人官房技術審議官)と答弁。これを踏まえて脇氏は「商行為として少しでも利益を上げようとする中、標準的価格の予定価格に近い金額で仕事をすることが不正に当たるのか」と疑問を呈した。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)では「適正な利潤の確保」が発注者の責務とされている。脇氏は「安すぎる価格で発注をしたら、それこそが法律違反になるはずだ。それなのに予定価格に近いことを不当だと司法関係者が考えるとすれば、誤解もいいところだ」と検察や公正取引委員会の対応に懸念を示した。

脇氏は今後も国会でこの議論を続ける考えだ。

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