2016/05/25 国交省/中小企業合併の事業継承で検討案/許可・経審手続き迅速化、技術者も円滑移行

【建設工業新聞 5月 25日 1面記事掲載】

国交省は、中央建設業審議会(中建審、国土交通相の諮問機関)と社会資本整備審議会(社整審、同)合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)が23日開いた会合で、検討課題となっている「中小建設企業の企業再編や事業継承の支援など」について方向性を示した。合併時の建設業許可手続きの迅速化や経営事項審査(経審)の簡素化、廃業に伴う技術者の円滑な移行などで検討案を提示した。

現行の許可制度では、吸収合併の場合は消滅会社だけが有していた許可を、新設合併の場合はすべての許可を新たに取得しなければならないが、申請は合併の効力が発生した後に限られている。合併時の経審は、完成工事高や財務諸表を合併の効力が発生した時点で新たに準備しなければならない。このため許可、経審とも空白期間が生じてしまうのが課題だ。

検討案によると、許可制度は合併の効力が発生する前に確認の手続きを行うことで、申請から取得までの期間を短縮する。あらかじめ許可行政庁の認可などを受けることによって、合併効力の発生日に自動的に権利業務を継承するスキームも考案している。

経審でも同様に事前の確認手続きの整備を提案。一定の条件下では合併の効力発生時ではなく、存続・消滅会社それぞれの既存の財務諸表などを合算する案も示した。

現在は、企業が廃業した業者の技術者を受け入れても、審査基準日までに6カ月を超える恒常的な雇用関係がなければ経審に加点されない。廃業に伴う技術者の移行を円滑化するため、検討案では技術者を受け入れた場合の経審上の特例措置を提示。雇用6カ月未満でも技術職員として評価したり、受け入れた技術職員の人数に応じて廃業業者の完成工事高などを引き継げたりする案を例示した。

合併などに伴う入札契約制度上の制約条件(地域要件の喪失、入札参加等級の変更など)を緩和する特例措置が自治体ごとに講じられている。国交省は自治体の特例措置の効果や課題を検証し、効果的な特例措置のあり方などを検討する。

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