2016/06/23 全国建産連・渡邉勇雄会長に聞く/安定した予算確保不可欠/同一評価軸の経審再考を

【建設工業新聞 6月 23日 1面記事掲載】

6月7日の総会で就任した全国建設産業団体連合会(全国建産連)の渡邉勇雄会長は22日、建設専門紙各社のインタビューに応じ、今後の活動方針などを語った。公共工事依存度の高い地方業者には安定した予算確保が不可欠だと強調。老朽インフラを効果的に維持更新できるよう、「毎年2兆円程度を投入して10年がかりで直し、次世代に引き渡せるようにすることが重要だ」と訴えた。大手と中小業者を同一軸で評価する経営事項審査(経審)も「再考すべき時期にきている」と指摘した。

--活動方針を。

「建産連の本質は、地域の総合工事業者と専門工事業者、建設関連業者が入った組織であることだ。これからの地域の建設業界は、共に栄えることを基本に、共に汗をかくパートナーであることが重要だと考えている。そうした視点で地域の声を拾い集めながら活動を展開していきたい」

「地域や業種の違いで、多少の意見の食い違いは当然あるだろうが、重要なのは主軸ををぶらさない方向で施策を立てていくことだ」

--担い手の確保・育成は重要な視点だ。

「建設産業にとって若い人を取り込むことは重要だ。国土交通省には公共工事設計労務単価を4年連続で引き上げていただき、大きな効果が出てる。一方で現行の単価の決定方法には限界があるとも感じている。政策的に単価をどう決めていくかを含めた提案ができるようにしたい」

「何よりも重要なのは、安定的な予算の確保だ。政府は本年度の予算を上半期に8割前倒し執行する方針だが、年度後半に対応した大型補正予算を編成していただくと同時に、来年度当初予算の確保も欠かせない。加えて、インフラ老朽化に対応して年2兆円程度を投入した維持更新を10年程度続け、次世代に引き継いでいくべきだと考えている。国交省幹部の人事異動があったタイミングを捉え、23日に要望活動を行う」

--現在の産業政策をどう考える。

「大手も地域業者も同一軸で評価している経審のあり方に疑問を感じている。大臣許可と知事許可で評価軸を考えるなど、見直しを考えるべき時期に来ているのではないか。今後、全国建産連内でも検討していきたい。専門工事業でも企業評価を求める声がある。元請が評価する際のモデルがあってもよいだろう」

--建産連が設置されていない地域もある。組織拡充の方針は。

「数は力なりと考えている。まだ建産連が設置されていない地域もあるが、全国建設業協会(全建)と同様、全都道府県に設置されることを目指し、絶えず組織の拡充を意識した活動を展開していきたい」

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