2016/08/01 国交省/中建審に「新たな検討の場」設置提案/関連制度の枠組み見直し

【建設工業新聞 8月 1日 1面記事掲載】

国土交通省は7月29日、中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関、石原邦夫会長)の総会を東京都内で開き、今後の建設産業政策を議論する「新たな検討の場」の設置を提案した。中建審と社会資本整備審議会(社整審、同)合同の基本問題小委員会(大森文彦委員長)による建設業の構造的課題についての中間取りまとめを踏まえ、産業全般の課題を6項目に整理。解決に向け、建設業許可制度や経営事項審査(経審)など関連制度の基本的枠組みを再検討する場と位置付ける。

基本問題小委は、基礎杭工事の施工データ流用問題に対応して国交省が設置した杭問題に関する対策委員会(深尾精一委員長)の報告書(15年12月)を受けて1月に約2年ぶりに再開し、背景にある建設業の構造的課題を中心に審議。この中で制定から約70年が経過した建設業法を含め建設業制度の基本的枠組みを再検討すべきとの議論が起こり、6月に発表した中間取りまとめには、建設業施策全般にわたって検討を深めることが望まれると明記された。

総会で国交省は、建設産業に関する今後の政策検討の進め方(案)を提示した。検討の方向性として「建設産業の発展性・収益性」「建設産業の持続性」「受発注者間の信頼構築」の3テーマを設定。産業の将来展望も踏まえ、検討課題を、▽発展分野への展開▽経営力と生産性の向上▽人材の確保▽地方における役割の維持▽建設工事の信頼性の確保▽発注の改善-の6項目に分類した。

こうした課題に応じて、建設業許可制度や請負契約、経審、技術者制度、入札契約制度など関連制度の基本的枠組みを再検討するため、新たな検討の場を設ける。任意の懇談会のような位置付けで、建設産業政策を幅広く議論する。個別テーマが固まれば別の場を設け、議論を深めていくことも想定している。メンバーやスケジュールなど詳細は今後詰める。

冒頭、谷脇暁土地・建設産業局長は「建設産業が役割を果たすため、生産性向上を進めながら現場力を発揮し、品質を確保していく。社会が変化する中、将来像を見据えつつ課題にどう対応していくかが重要だ。今後の産業政策について忌憚(きたん)のない意見と活発な議論をお願いしたい」と述べた。

総会では、基本問題小委の中間まとめや、その成果として同省が策定した民間建設工事の適正な品質を確保するための指針も報告された。

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