2016/09/27 国交省/工事品質確保へ監督・検査方法検討/ICTや非破壊試験活用

【建設工業新聞 9月 27日 1面記事掲載】

国土交通省は、工事の品質をより確実に確保するための監督・検査方法を検討する。ICT(情報通信技術)など最先端技術の導入や非破壊試験の活用によって、施工状況や不可視部分の確認作業を効率化する。効果的な抜き打ち確認のタイミングや方法なども設定。受発注者の間に緊張感を生み、不正行為の抑止につなげる。発注者の確認頻度を増やしたり、第三者による確認も取り入れたりするなど、より確実な品質確認体制を確立する。

近年、落橋防止装置の溶接不良や地盤改良工事の施工不良、基礎杭工事のデータ流用など工事品質に関する問題が発生。同省が設置した各有識者委員会がまとめた再発防止策には、発注者による抜き打ち検査の実施やICT活用による施工管理の合理化などが明記されている。これを受けて国交省は監督・検査内容の充実や体制確保が必要と判断。26日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で、監督・検査に関する検討の方向性を提示した。

施工状況の確認作業を効率化するため、ICTやIoT(モノのインターネット)を導入する。映像だけで施工状況を把握する方法や、データ改ざんを防止する技術の確立、ICT導入に関する基準類の整備について今後検討。試行工事で課題への対応状況を検証し、本格導入を目指す。コンクリート構造物の配筋状態の確認に活用している非破壊試験について、技術の精度や汎用性を確認して基準類を整備。他工種への拡大の可能性も模索する。

発注者による抜き打ち確認は、落橋防止装置の溶接状況、地盤改良工事の薬液注入で実施することを想定。効果的な立ち入り確認のタイミングや頻度、確認する範囲と内容、評価方法などを検討する。

施工データの自動計測やクラウド管理など最先端技術の導入を踏まえ、委員からは「データを記録・保存し、発注者がいつでも確認できるようにすることが大事。それが不正行為の予防にもなる」との意見が出た。

同省によると、発注者による品質確認は現在、20分の1が現場、20分の19が書面で行われている。より確実な品質確認体制の確立に向けて同省は、▽発注者による確認頻度の増加▽施工者と契約した第三者の確認▽ISO9001(品質マネジメントシステム)を活用した確認-の3案を提示した。

これに対し委員からは「発注者と契約した第三者が確認するケースもあるのではないか」といった指摘が出た。

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