2016/09/30 国交省/生コン打設のスランプ規定見直し/仕様から性能へ2案想定

【建設工業新聞 9月 30日 1面記事掲載】

国土交通省は、工事に使う生コンクリートの流動性を示すスランプ値の規定方法を見直す。新技術の導入促進や、施工の自由度を高め施工者の創意工夫を促すことを目的に、従来の仕様規定を性能規定へと見直し、検査方法も検討する。具体的には▽スランプフローを参考値とし空気量と水セメント比で品質確認▽適切なスランプ値を設計段階で検討・設定-の2案を想定。今後、導入の影響や課題を抽出し、実現性などを検討する。年度内にもスランプ規定の改定案を取りまとめる。=2面に関連記事

スランプ値は現在、発注仕様などで日本工業規格(JIS)の規格値が採用されている。このため流動性の高いコンクリートを使用する場合、施工段階の個別協議によって、施工者が標準スランプでは十分に施工ができないことを示す必要があった。規格値が使われているために、設計段階で流動性の高いコンクリートが採用される例も少ないという。

協議にかかる労力を減らし、打設時の生産性向上を図るため、国交省は発注時のスランプ値の規定方法や、コンクリートの品質確保のための検査方法などを見直す。

具体的には、施工者がスランプフローを参考にして空気量と水セメント比で品質を確認する案と、設計者が構造・配筋を考慮して適切なスランプ値を検討・設定する案の二つを想定。施工者が品質確認する案は、高密度配筋の構造物など流動性の高いコンクリートを効果的に活用できる工種や部位から試行的に採用を検討する予定だ。

国交省が取り組む建設現場の生産性向上策「i-Construction」のトップランナー施策の一つに、「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化)」が位置付けられている。コンクリート工の生産性向上について検討する有識者会議「コンクリート生産性向上検討協議会」(会長・前川宏一東大大学院教授)の3回目の会合が28日開かれ、国交省がスランプ規定の見直し案を提示した。

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