2016/10/06 全建会員/受注の先行き懸念/予定価格・工期設定の改善要望も

【建設工業新聞 10月 6日 1面記事掲載】

地域建設会社に工事受注の先行きへの懸念が広がっている。全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)が会員企業に行った調査で、受注状況が「悪い」「悪くなってきた」との回答が半数を超えた。都道府県建設業協会への調査では、労務や資材の実勢価格の予定価格への反映や、現場条件に配慮した工期設定を求める声が依然多い。

調査は、6日から国土交通省と全国9カ所で行う地域懇談会・ブロック会議に活用するデータを得るため実施。改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の効果の確認を主目的に7月1日時点の状況を都道府県建協と会員企業に聞き、33協会と696社から回答を得た。

会員企業の回答では、前年同時期と比較した受注の状況が「良い」「良くなってきた」の合計が9%(前回10%)の低水準にとどまった。反対に「悪い」「悪くなってきた」の合計は54%(60%)。前年よりやや少ないが半数を超える水準が続いている。地域別では「悪い」「悪くなってきた」の合計が北陸で70%に達した。受注の悪化要因には「発注減少」「競争激化」「(技術者の不足などによる)応札減少」が挙がった。利益の状況も「悪い」「悪くなってきた」の合計が44%(50%)を占めた。

現場条件を踏まえた適切な工期が設定されているか聞いたところ、改善傾向と見る回答が都道府県は55%(44%)、市区町村は49%(34%)あったが、「未改善」も前年に続き20%を超えた。

都道府県建協の回答を見ると、都道府県発注工事で、予定価格への実勢価格の反映が「改善されている」との回答が100%(88%)になったが、市町村の工事は「不明・未回答」が多く、「反映されていない」との回答が前年と同様に3~10%(3~7%)あった。

歩切りについては、都道府県で廃止が確認できたが、市町村では前年より改善が進むと同時に「未改善」との指摘もわずかながらあった。「予定価格のカットは行っていないが、見積もりの段階で単価を落としている」との意見も寄せられた。

現場の諸条件を踏まえた適切な工期設定に関しては、国交省は「以前から設定」「改善された」の合計が73%(58%)に上昇し、改善が進んだと受け止める協会が多い。都道府県も「改善された」が73%(23%)に急増し、実施済みを含めると88%(46%)に達した。市町村は、改善の割合が国交省や都道府県に比べて低かった。都道府県が、発注・竣工時期の平準化や、入札・契約・監督・検査といった体制の整備に積極的なことがうかがえる結果となっている。

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