2016/10/17 国交省/i-Con推進拡大/下期発注で方針、週休2日モデル増や専門工事業者活用

【建設工業新聞 10月 14日 1面記事掲載】

国土交通省は、16年度第2次補正予算が11日に成立したのを受け、直轄工事の下期発注に関する方針をまとめた。建設現場の生産性向上策「i-Construction」の推進、週休2日の推進・労働生産性の向上、現場の技術力の活用の3本柱に基づき、円滑で適切な事業執行を図る観点から取り組む施策を提示した。補正予算の事業は年度内発注を原則化。施工時期の平準化を図り、17年度当初の稼働率を高める。

i-Constructionのトップランナー施策の一つで、16年度から本格化した「ICT(情報通信技術)土工」は引き続き強力に推進。年間の発注見通しは補正予算で230件追加し、約970件に拡大する。14年度から試行中の「週休2日モデル工事」も拡大。15年度に56件実施した工事を16年度当初は倍増させる見込みだったが、補正予算分も含め630件と大幅に増やす。

十分な工期を確保するため、工期設定支援システムの試行導入と準備・後片付け期間の改善に取り組む。同システムは歩掛かり調査で設定した日当たり施工量を基に工種ごとに必要な日数を自動算出し、工程を設定することで工事に必要な工期を算出。工種別の工事費と工期に関する算定式で出した日数とを比較し、工期の妥当性を確認する仕組み。最適工期を設定するツールとして下期から試行運用する。

工事の準備と後片付けの標準期間を実態調査に基づき改定。最低限の期間という位置付けで実態を基に河川や海岸、トンネルなど7工種を対象に設定し、その他の工種も実態を把握した上で改定していく。

総合評価方式の入札で審査業務を効率化する「一括審査方式」の適用を広げる。同方式は工事の目的・内容が同種で、技術力審査・評価の項目が同じ工事が近接している場合、提出する技術資料を一つにして一括で審査する。15年度は351工事・136件に適用。16年度は約750工事・300件(補正予算で約275工事・100件を追加)と倍増させる。

工事書類の簡素化も図る。総合評価方式の入札で提出書類を簡素化する「簡易確認型」を一部の地方整備局で試行。補正予算で約20件実施する。簡易確認型は入札書とともに簡易な技術資料1枚の提出を求め、評価値の上位3者に絞り込んでから詳細な技術資料を提出してもらい、落札者を決定する手法。施工能力評価型II型に適用できる。

監督・検査を合理化するため、作成する工事書類(6項目)を削減し、検査時の重複確認(4項目)も廃止する。15年度に24件で試行し、工事書類を約2割削減できている。

現場の技術力を活用するため、専門工事業者の工程調整会議などへの参加を試行する。登録基幹技能者の配置を総合評価方式の評価項目に設定する取り組みも積極的に実施。補正予算の発注工事のうち約7割に試行適用する予定だ。

下期の発注行政に関する取り組みは次の通り。

【i-Constructionの推進】
△16年度補正予算については原則年度内に発注することにより17年度当初の稼働率をアップ(施工時期の平準化)
△ICT土工の推進

【週休2日の推進・労働生産性の向上】
△週休2日モデル工事の拡大
△十分な工期の確保(工期設定支援システムの導入、準備・後片付け期間の改定など)
△総合評価方式の一括審査の活用
△工事書類の簡素化(総合評価方式の提出資料の簡素化、監督・検査の合理化)

【現場の技術力の活用】
△専門工事業者の技術力の活用(工程調整会議に専門工事業者の参加、登録基幹技能者の活用)。

◇「2本柱実現に有効」/日建連・宮本洋一副会長コメント
国交省が16年度下期の発注行政の取り組みをまとめたのを受け、日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一副会長・土木本部長は「準備・後片付け期間の改善や週休2日モデル工事の拡大、工事書類の簡素化などは、『担い手確保』と『生産性向上』の2本柱の実現につながる有効な施策と考えている。先般の全国各地区での意見交換会でも提案テーマとして取り上げてきたものであり、迅速な対応に感謝の意を表したい。今後、現場で確実に浸透し、効果が発揮されることを期待するとともに、日建連としてきめ細かいフォローアップに努めていきたい」とのコメントを発表した。

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