2016/10/21 財務省/施工時期平準化へ債務負担の活用促進/発注見通しの統合・公表も

【建設工業新聞 10月 21日 1面記事掲載】

財務省は、公共工事の施工時期の平準化を一段と推進するため、財政面での可能な措置について、20日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に論点を示した。適正な工期を設定して、年度をまたいでの施工が可能となる2カ年の債務負担行為(2カ年国債)のさらなる活用のほか、初年度の国費支出を伴わないゼロ国債を活用することなどを挙げた。

2カ年国債は、15年度に約200億円計上したのを16年度は約700億円に拡大。工事を年度内に無理に完了させることなく、必要な工期を確保することにつなげた。これにより、人材や機材の投入を平準化することが可能となる。

論点には、2カ年国債やゼロ国債のさらなる活用に加え、地域単位での発注見通しの統合・公表も盛り込んだ。

国の直轄工事では、2カ年国債の活用により16年1~3月の新規工事契約件数が前年同期比で1・3倍増えた。これにより、単年度予算主義の原則で年度末に工事を完成させるという流れを転換。民間工事に比べて年度当初の閑散期と年度末の繁忙期の差が著しいとされる公共工事の課題の解消に役立て、人材・資機材の効率的な活用などにつなげている。

建設業界からは、早期発注で「天候が良い時期に作業ができ、作業効率もよくなった」といった意見や、「安定的な雇用を生み、経営の効率化につながった」「雇用の確保の計算ができる」といった平準化の取り組みによる効果を評価する声が上がっている。

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