2016/11/09 国交省/ダンピング対策、未導入市町村規模ごとに重点対応/都道府県と連携し実施

【建設工業新聞 11月 9日 2面記事掲載】

国土交通省は低入札価格調査制度か最低制限価格制度を導入していない市区町村のうち一定規模以上の団体に対し、都道府県と連携してダンピング対策の導入を重点的に働き掛ける。未導入団体への対応の実効性を高めるのが目的。人口規模や年間発注金額などを基準に未導入団体の約1割を重点団体とし、両制度の適切な活用や予定価格の事後公表などダンピング受注防止策の導入促進を図る。

国交、総務、財務の3省が行う「入札契約適正化法等に基づく実施状況調査」によると、15年3月時点で、低入札価格調査制度か最低制限価格制度を導入していない市区町村は全体の10%に当たる181団体だった。ダンピング対策の継続的な働き掛けなどにより、未導入団体は減少傾向にあるという。

国交省は未導入市町村への対応を、人口や発注金額などの自治体規模に応じて効果的に実施する。まずは一定規模以上の工事を発注する自治体から働き掛け、徐々に中規模、小規模へと範囲を拡大。ダンピング対策を着実に浸透させていく考えだ。

具体的には人口と発注金額や、人口と普通建設事業費を基準として重点団体を絞り込む。未導入市町村の約1割を対象に想定している。国交省の試算によると、人口1万5000人以上・15年度発注金額10億円以上で対象自治体が12団体、人口1万5000人以上・14年度普通建設事業費15億円以上で16団体。重なる団体も多く、未導入団体のおおむね1割を占めるという。

国交省は7日に北陸地区でスタートした16年度下期ブロック監理課長等会議(全8ブロック)で、都道府県の担当者に未導入団体への対応案を提示。管内の重点団体に対する働き掛けで協力を求めていく。

未導入団体の7割以上を占めるのが人口1万人未満の自治体だ。都道府県からは「大半が小規模市町村であり、人員不足もあって速やかな対応が難しいのでは」「制度の導入促進を目標とするとしても、導入を要しないと考える自治体の意見も聞くべきだ」などの意見が寄せられている。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)は低入札価格調査制度や最低制限価格制度の導入を発注者の責務として明記。改正公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく国の指針もいずれかの制度の活用徹底を求めている。

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