2016/12/12 建設工事安全健康確保法が成立/衆参両院で全会一致/国が基本計画策定へ

【建設工業新聞 12月 12日 1面記事掲載】

「建設工事従事者の安全および健康の確保の推進に関する法律」が、9日の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。建設工事従事者の安全と健康を確保するため、国や都道府県、建設業者などの責務を規定しており、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、政府が基本計画を策定する。公布から3カ月後に施行される。

法案は、自民、公明の与党国会議員でつくる日本建設職人社会振興議員連盟(会長・二階俊博自民党幹事長)が作成。その後の野党との調整を経て、臨時国会で審議された。先行して参院で審議、可決され、衆院に送られていた。

新法は、建設工事従事者の安全と健康を確保することで建設業の健全な発展に役立てることが目的。基本理念として、▽適正な請負代金の額と工期を定める▽必要な措置を設計、施工など各段階で適切に講じる▽安全と健康に関する意識を高め、安全で衛生的な作業の遂行を図る▽建設工事従事者の処遇の改善と地位の向上を図る-ことを明記。政府は、こうした基本理念に沿った施策を推進するために基本計画を策定する。都道府県も政府の計画を踏まえた計画を策定するよう務めることも明記した。

基本理念に沿った基本的施策として同法では、建設工事の請負契約で労災保険料を含む経費を適切かつ明確に積算することを規定したほか、責任体制の明確化、現場の安全性の点検、安全と健康に関する意識の啓発を列挙。政府が「建設工事従事者安全確保推進会議」と「同専門家会議」を設けることも規定した。

法案を採決した同日の衆院国土交通委員会では、先の参院国交委で採択した同法推進に関する委員会決議と同様の10項目に及ぶ付帯決議を全会一致で採決。安全と健康のための経費を確保できるよう、法定福利費を内訳明示した見積書の提出など社会保険未加入対策を一層推進することなどを示し、これに石井啓一国交相も趣旨を尊重して努力すると応じた。

本会議では、西銘恒三郎国交委員長(自民)が審議経過を説明し、全会一致で可決した。

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