2017/01/16 国交省/若手技術者活用推進へ入札方式改善/4タイプの試行工事で課題抽出

【建設工業新聞 1月 16日 1面記事掲載】

国土交通省は直轄工事で試行している若手技術者の配置を促す入札契約方式の改善を進める。総合評価方式の入札で一定年齢以下の技術者の専任配置を加点評価するなど4タイプの試行工事を通じて、若手技術者の配置状況や工事の品質・成績との関係などを分析。タイプの集約はせずにそれぞれの特徴を踏まえて改善を加え、さらなる活用を促す。

将来のインフラ整備を支える若手技術者の確保・育成を目指し、国交省は総合評価方式の入札で若手の配置を促進する手法を13年度から試行してきた。

具体的には、▽タイプI(対象・担当技術者)=一定年齢以下(35歳以下)の専任配置を加点▽タイプII(主任〈監理〉技術者)=専任補助者の実績・成績を代わりに評価▽タイプIII(同)=同種工事で現場代理人や担当技術者としての実績を同等評価▽タイプIV(同)=一定年齢以下(40歳以下)を参加条件-の4タイプを各地方整備局などで実施している。

15年度に発注した試行工事の件数は、タイプIが約300件(14年度約50件)、タイプIIが約1600件(約1800)、タイプIIIが整理中(整理中)、タイプIVが約20件(約10件)。

受注者からは、「将来の担い手の確保に重要な取り組み」「若い時期に経験を積ませて自信を持たせることは重要」など前向きな意見が多い。国交省は活用をさらに進めるため、試行工事で課題を抽出し改良・改善を図る考えだ。

例えば、タイプIでは若手を担当技術者として専任配置することでさまざまな工事を経験しにくくなるため、九州地方整備局では16年度から別のタイプにシフトした。タイプIIではベテラン技術者を補助者として専任配置せず、企業が若手技術者をバックアップすることを評価する改良型を、北陸地方整備局で試行しているという。

国交省は若手技術者の配置状況や工事品質(成績)との関係などを分析。次回の「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)で改善策などについて議論してもらう。

改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)には、担い手の確保・育成や多様な入札契約方式の選択・活用が盛り込まれている。国交省は直轄工事の入札で運用する総合評価方式の運用ガイドラインを改定。中長期的な技術者確保などの施策を推進する観点から、評価項目を発注者が多様な要素で適宜設定できるようにしている。

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