2017/03/31 社保加入促進-国交省が追加策/法定福利費を契約書にも明示/新協議会は4月開催

【建設工業新聞 3月 31日 1面記事掲載】

国土交通省は、建設業の社会保険加入促進策を一段と強化する。産学官が連携する社会保険未加入対策協議会(蟹澤博剛会長)を改組した「建設業社会保険推進連絡協議会」(仮称)を当初予定の5月から4月に前倒し開催。その場で強化策の取り組み内容を示す。加入原資となる法定福利費を確保するため、標準見積書の活用に加え、請負契約書にも内訳を明示して確実に計上されるようにする。

社会保険未加入対策では、17年度に企業単位で建設業許可業者の100%、労働者単位で製造業並みの90%の加入を目標にして対策を講じてきた。12年5月に発足した社会保険未加入対策協議会では、会合の都度、参加者間で加入促進に向けた活動を申し合わせている。

新協議会の4月の前倒し開催に向けて国交省は現在、法定福利費を内訳明示する標準的な請負契約書のほか、企業情報検索システムへの加入状況の追加、現在は地方整備局を事務局にブロック単位で組織する未加入対策協議会を都道府県単位で別途設けることなども検討中。地域ごとに加入促進策を共有したり、行動基準などルール作りを行ったりしながら、継続的に関係者が集まれる場とする。

国交省直轄工事では4月から2次以下の未加入下請業者も排除する対策を実施することになっており、これを自治体工事に広げる方策も検討。併せて、積算で企業負担分の法定福利費が確実に計上されるようにする方策も徹底する考えだ。

現場単位での元請による加入指導や業許可部局などによる立ち入り検査時の指導も強化。加入義務を逃れるために一人親方化や5人未満の企業への小規模化が増えていることにも対応していく。

17年度以降も続く各種加入促進策に関する相談に応じる体制も改めて整備。駆け込みホットライン(建設業法違反通報窓口)や建設業フォローアップ相談ダイヤルなど既存の窓口に加え、社会保険に特化して相談に応じる体制を設定する。対策の周知を図るための素材も検討。対策の目標年次到来を受けた加入状況の実態調査も行っていく。

国交省は加入促進に向けた追加策に取り組むことで、「これまでの5年間で対策が終わるのではなく、引き続き対策を強化して建設業の社会保険加入に取り組んでいく」(労働資材対策室)としている。

国土交通省が検討中の社会保険加入促進に向けた強化策は次の通り。

■契約書への法定福利費の内訳明示

■企業情報検索システムへの社会保険加入状況の追加

■都道府県単位で社会保険加入対策を共有する場の設置

■地方自治体発注工事での社会保険未加入業者の排除策徹底

■建設現場での元請企業による社会保険加入指導の徹底

■一人親方化や5人未満の小規模化への対応策

■国交省での社会保険加入に関する相談体制の整備

■社会保険加入状況の実態調査の実施。

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