2017/05/30 国土交通省 「第5回 建設産業政策会議」法制度・許可WG・企業評価WG・地域建設業WGのとりまとめ(骨子案)を公表(その3)

※その1 法制度・許可WGのとりまとめ(骨子案)はこちら
※その2 企業評価WGのとりまとめ(骨子案)はこちら

■地域建設業WGのとりまとめ(骨子案)■
地域建設業は、地域インフラの整備・維持管理に加え、災害時には応急復旧など、「公務」に従事する役割を担う「地域の守り手」であると同時に、地域の基幹産業として経済活性化や雇用を支える「地域創生の担い手」としての役割を担っている。
地域建設業がこうした役割を果たすための施策として、5つのテーマに分けて検討された。

①地域の建設企業の経営力の強化
地域の建設企業が災害対応・インフラ維持管理を行うためには、企業経営の安定化が重要であり、経営力の強化を図る必要がある。
経営プロセスの改善について、建設企業における営業力やコスト競争力の強化、従業員の処遇改善等に関する事例・課題の分析を行い、情報発信を行う等、企業の経営改善の取り組みを促すべきとされた。
その他、複数の建設企業等による事業連携の促進・ICTを活用した建設関連ビジネスの展開・地域の建設企業の経営基盤について検討するべき項目が挙げられた。


第5回 建設産業政策会議 配付資料

②地域建設業と市町村との連携強化
これまでの施策では、地域の基幹産業を官民のパートナーシップの下で育てる観点が十分とは言えない状況であった。
本来地域建設業との関わりが深い市町村が主体となり、地域建設業の振興等を図れるよう制度的位置づけや支援策について検討すべきとされた。


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③地方公共団体の発注体制の補完
地方自治団体の発注体制に関し、小規模な団体における体制の脆弱化が進行している。
将来にわたり持続可能な発注体制を確保するため、体制を補完する観点から、以下の3つに分けて検討された。

・複数の機関による発注関係事務の共同処理:複数の公共団体等による事務の共同化が円滑に導入・運用されるよう、取組事例の整理、情報発信、ガイドライン等の策定し、共同化を進めるべきとされた。


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・共同受注の活用:共同受注の発注経験のない市町村向けに手引きを作成するなど、共同受注を行いやすくなる環境整備を進めるべきとされた。


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・発注関係事務の民間委託:民間委託が可能な範囲について明確化するべきであること、CM制度の位置づけについて検討すべきとされた。


④地域建設業の安定的な担い手確保に資する入札契約方式
地域インフラの維持管理に関しては、現時点でも工事を担う建設企業が確保できていない地域が多く存在する。
海外の制度も参考にしつつ、地域建設業の担い手の安定的な確保に資する、新たな入札契約方式について検討すべきとされた。


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⑤将来の建設市場に対応した建設企業のあり方
地域における建設企業の動向や建設企業の立地分布に鑑み、「維持管理」を中心に営む建設企業のあり方や方向性について検討すべきとされた。


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■建設業の海外展開■
その他、建設企業の海外展開についての議題では、「官民の連携・総合力の強化」「既存の枠組みからの脱却」「安定した強固な建設関連制度を各国に」「中堅・中小企業にとって海外進出を選択肢に」「海外展開を支える人づくり」といった課題に対し、「質の高いインフラ」の普及促進、拠点告の政府・企業と連携した第三国への進出支援、新興国等におけるPPP・不動産開発事業等への構想段階からの参入促進などの取り組みへの方向性を提示した。


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■適正な施工確保のための技術者制度検討会とりまとめ(構成案)■

適正な施工確保のための技術者制度検討会のとりまとめについては、技術者制度の基本的枠組みの再構築、不正行為を生じさせない体制づくり、適正な技術・技能を持った者による施工、若年齢から活躍できる機会の付与、働き方改革の推進、の5つについて検討の方向性を提示した。

委員会では、蟹澤委員(芝浦工業大学建築学部建築学科教授)・櫻井委員(学習院大学法学部教授)から
「何のための議論であるのか?建設企業を守ろう、という議論ではない。建設業界が健全になることで、地域が発展し、国民生活の安心安全につながる。その視点が弱いのではないか」との意見があった。

今回議論された内容も含め、6月に最終論議が行われる予定である。


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