2017/06/06 低入札基準見直し-都道府県7割に浸透/国の動きに連動、ダンピング排除へ/国交省

【建設工業新聞 6月 6日 1面記事掲載】

国土交通省は、低入札価格調査基準に関する中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)モデルと国交省基準が4月に見直されたのを受け、都道府県の対応状況を調査した。5月1日時点で、低入札価格調査の基準価格で35団体、最低制限価格で31団体がモデルと同等かそれ以上の基準を設定。多くの自治体が国の動きと連動して対応したことが分かった。

国交、総務両省は自治体に低入札価格調査制度、最低制限価格制度を適切に活用し、ダンピング受注を排除するよう求めてきた。

国交省は低入札価格調査の基準価格の算定式見直しで、労務費の算入率を現行の「0・95」から「1・0」に変更。これにより、機械経費、労務費、材料費で構成する直接工事費の算入率を現行の「0・95」から「0・97」に引き上げた。4月1日以降に入札公告した直轄工事から新基準を適用している。

各省庁などが参画する中央公契連が示す低入札価格調査基準のモデルも、国交省が見直した基準に準拠することになった。自治体の公共工事でも同様の取り組みを促す目的で、国交、総務両省は3月にダンピング対策の強化を文書で要請。低入札調査の基準価格や最低制限価格の算定式を適切に見直すよう求めた。

国交省は都道府県の対応状況についてフォローアップ調査を実施した。5月1日時点で、基準価格では10団体がモデル以上、25団体がモデルと同等の基準を設定。最低制限価格では12団体がモデル以上、19団体がモデルと同等の基準を設けていた。今回の調査で多くの団体が素早く対応したことを把握できた。

国交、総務両省は算定式の適切な見直しとともに、入札前に公表した調査基準価格や最低制限価格に応札が集中し、くじ引きによる落札が増加しているとして、公表を契約締結後に切り替えることも要請している。今後も適正な競争を阻害する事前公表を取りやめるよう求めていく。

《中央公契連モデルと同等以上の基準を設定している自治体》

■低入札価格調査基準価格と最低制限価格の両方

▽北海道▽山形▽茨城▽栃木▽群馬▽埼玉▽千葉▽神奈川▽山梨▽新潟▽富山▽石川▽岐阜▽静岡▽三重▽福井▽滋賀▽京都▽奈良▽島根▽山口▽徳島▽愛媛▽福岡▽長崎▽熊本▽大分▽宮崎▽鹿児島▽沖縄

■低入札価格調査基準価格のみ

▽鳥取▽岡山▽広島▽香川▽高知

■最低制限価格のみ

▽青森

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