2017/06/27 国交省/技術者制度検討会が取りまとめ案/高い能力持つ技術者育成へ

【建設工業新聞 6月 27日 1面記事掲載】

国土交通省は高い能力を持つ技術者の育成を柱とする技術者制度の方向性を、23日に開いた「適正な施工確保のための技術者制度検討会」(座長・小澤一雅東大大学院教授)に取りまとめ案として示した。民間資格を含め公的資格保有者の配置推奨や、より高い能力を持つ者が評価される環境整備、継続的な技術研さんの仕組みを検討。監理技術者に導入している確認制度の対象拡充や、不正を行った技術者への罰則規定創設など技術者の地位向上につながる制度構築を目指す。

取りまとめ案には、14年9月から計17回にわたった議論の成果や、将来を見据えた方向性などを盛り込んだ。

今後の技術者制度について、適正な施工の確保や担い手の確保といった観点から、▽高い能力を有する技術者の育成~技術者の地位向上に向けて▽適正な施工の徹底~技術者の役割の全う▽技術者制度の基本的枠組みの再構築▽若年齢から活躍できる機会の付与▽働き方改革(職場環境の改善など)の推進-の五つの方向性を示した。

具体的な方策として、信頼性・専門性の高い資格保有者の輩出と現場への配置を推進する。監理技術者はできる限り施工管理技士など国家資格の保有者とし、国家資格のない業種には国家資格を創設。「電気通信工事」の技術検定制度を早期に創設し、他の業種についても適宜検証する。主任技術者要件として国家資格に加え、民間資格の認定・登録を推進するための認定基準を整理した。

より高い能力を持つ技術者が評価される環境を整備。特に難易度の高い工事や重要な工事には、技術研さんを積極的に行い、より高い技術を持つ人が施工管理を行う仕組みづくりを提言。有能な技術者がいる企業が評価・選定される環境整備や、個々の技術者の実績などの「見える化」も検討するとした。

継続能力開発(CPD)など既存の枠組みを活用した技術研さんの仕組みづくりも要請。適正な能力を持つ技術者の配置を徹底するため、専任の監理技術者に導入している確認制度を元請企業の主任技術者に拡充することも検討する。

技術者への罰則規定の創設を含めたペナルティーの充実だけでなく、総合的な取り組みを実施。技術者の倫理観を高め、不正行為による施工不良事案の根絶を図る。

技術者制度の基本的枠組みの再構築に向け、技術者の専任要件の見直しなどの検討も今後必要だとした。

小澤座長は「技術者制度を根本から議論し、結論が出た部分と結論が得られなかった部分がある。議論が必要な部分が残っており、国民に良質なインフラを提供するためにも議論を止めてはいけない」との見解を示した。

取りまとめの決定は小澤座長に一任された。検討会での意見などを踏まえ、国交省は今後、記述内容の精査などを進める。

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