2017/06/30 働き方改革省庁連絡会議が初会合/8月に適正工期設定ガイドライン策定

【建設工業新聞 6月 30日 1面記事掲載】

建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議(議長・野上浩太郎内閣官房副長官)の初会合が29日に官邸で開かれ、国土交通省は官民の建設工事を対象に、適正な工期設定に向けたガイドラインを策定する方針を示した。関係省庁の協力を得ながら8月の次回会合でまとめる。民間発注団体などでつくる協議会を7月に設置。ガイドラインを周知するなどし、働き方改革への理解・協力を求める。

会議で国交省は▽適正な工期設定・施工時期の平準化▽社会保険の法定福利費や安全衛生経費の確保▽生産性向上-の三つの取り組みについて、まずは国の発注工事で率先して推進・徹底し、地方自治体や独立行政法人にも国に準じた取り組みを要請するとした。民間発注団体には適正な工期設定や施工時期の平準化を推進し、適正な請負代金による契約を徹底。建設企業による生産性向上の取り組みに理解・支援を求める。

三つの内容を盛り込んだ「適正な工期設定等のためのガイドライン」を策定する。国の発注工事はこの指針に沿った工事の実施を徹底し、自治体と独法にも指針の順守と取り組みの強化を要請。民間発注団体にも指針を周知する。受注者による工期ダンピングや、発注者による短工期の強要を防ぐ取り組みも検討する。

働き方改革の取り組みを民間発注者にも理解・協力してもらうため、国交省は7月に主な民間発注団体や建設業団体、労働組合が参画する「建設業の働き方改革に関する協議会」を設置する。ガイドラインの周知・徹底を図るとともに、働き方改革の意見交換を行う。

国交省からガイドライン策定の提案を受け、野上議長は「発注者の業界を所管する関係省庁とも連携しつつ、国交省を中心に検討を開始していただきたい」と指示。不適正な工期への対応強化に向け、「不当に短い工期での受発注の防止など適正取引の観点が反映され、実効性あるガイドラインとなるよう取り組んでもらいたい」と要請した。

政府の働き方改革実現会議(議長・安倍晋三首相)が3月に決定した実行計画には、建設業に罰則付きの時間外労働規制を設ける方針が示された。適用は改正労働基準法の施行後5年。その間も長時間労働の是正に向けた取り組みを推進するため関係省庁連絡会議が組織された。

会議の初開催を踏まえ、複数の元請関係団体は「週休2日の実現をはじめ担い手の確保・育成に取り組んでいる中で、適切な工期設定を巡る議論が進むのはありがたい。工期を含む適切な工事契約が締結される環境の整備がさらに加速することを期待したい」と受け止めている。

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