2017/07/06 国交省・平田研土地・建設産業局建設業課長/政策会議の提言、スピード感持ち具体化

【建設工業新聞 7月 6日 1面記事掲載】

国土交通省の平田研土地・建設産業局建設業課長は4日、日刊建設工業新聞などのインタビューに応じ、建設産業の将来展望や建設業関連制度の基本的枠組みを検討してきた同省の有識者会議「建設産業政策会議」の報告書が同日、石井啓一国交相に提出されたのを受け、「提言された内容にスピード感を持って取り組んでいく」と制度改革などの具体化を急ぐ方針を示した。=2面に連載「建設産業政策-10年後を見据えて」

「建設産業政策2017+10~若い人たちに明日の建設産業を語ろう~」と題した報告書には、建設産業が目指すべき方向と、制度インフラを中心とした今後の産業政策が盛り込まれている。10年後を見据えた政策提言で、平田課長は「個々の企業の一層の取り組みに加え、業界全体や発注者、設計者などさまざまな主体との連携で施策を進めることの重要性や、そのために必要な制度インフラについて踏み込んだ提言となっている」との認識を示した。

報告書には各種の制度インフラの再構築を中心とした施策の方向性が明記されており、その具体化に向け、「業界内の理解の浸透や国会のタイミングなどがあるものの、法律や経営事項審査(経審)、公共工事標準請負約款、入札契約制度などの必要な改正にはできる限り早く取り組みたい」と述べた。

中でも働き方改革に関する取り組みについては「比較的急ぐ内容だ」と指摘。適正な工期設定に向けたガイドラインの策定や、施工時期の平準化の取り組み拡大などを進める考えを明らかにした。

経審と約款の改正は7月中に開く中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関)で行う予定で、「社会保険加入や地域貢献に関する内容を盛り込む。これが提言を受けての具体策の第1弾になる」と述べた。

政策会議では、民間を含む発注者にも適正工期の設定といった責務を規定していくことが議論された。平田課長は「建設工事の6割を占める民間発注工事にもいろいろな取り組みを求めていかなければいけない局面に来ている」と指摘。国交省は民間発注団体などが参画する「建設業の働き方改革に関する協議会」を7月に設置する予定で、「こうした場を使いながら民間発注者にも理解と協力を求めていきたい」と述べた。

平田課長は政策会議の議論を振り返り、「建設産業は人材で成り立っている産業であり、将来を担う若い人たちに振り向いてもらわなければいけない」と強調。「各企業の努力とともに、業界全体や発注者、地域とも連携した取り組みが大事だ。その後押しとなるよう政策を練り上げていきたい」と意欲を見せた。

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