2018/06/11 下請も社保加入企業に限定/都道府県35団体が規定、4団体は違約罰設定/国交省調査

【建設工業新聞 6月 11日 2面記事掲載】

都道府県で発注工事の下請会社に社会保険加入を促す動きが広がっている。国土交通省が5月時点の状況を調査したところ、35団体が社会保険加入企業に限定する規定を請負契約書に導入。うち17団体で2次以下も含め加入企業に限定していた。今後、10団体が限定規定の導入を予定している。猶予期間内に加入確認書類が提出されなかった場合、12団体が受注者に違約罰を科す規定を設けていた。

中央建設業審議会(中建審、国交相の諮問機関、石原邦夫会長)は、17年7月に建設工事標準請負契約約款を改正し、公共発注者や建設業団体などに勧告した。公共工事の約款改正では元請会社に対し、2次以下も含めた下請を社会保険加入企業に限定する規定を新設。元請会社が加入指導する猶予期間を設け、期間内に加入が確認できなければ、元請会社に違約罰を科せられるようにした。

国交省は直轄工事の契約書で「2次以下を含め加入企業に限定」「2次以下にも違約罰を科す」との条文を採用。17年10月から改正した請負契約書を適用している。

都道府県の取り組み状況を調査した結果、社会保険加入企業に限定する規定を導入している35団体のうち、17団体が2次以下を含め加入企業に限定。さらに国交省と同様、2次以下にも違約罰を科すとしたのが4団体あった。1次に限り違約罰を科すとしたのは2団体だった。

1次下請だけ社会保険加入企業に限定しているのは18団体。うち6団体で違約罰を設定していた。加入限定の規定の導入を予定しているのは5団体、導入予定だが時期は未定が5団体だった。

都道府県の社会保険加入促進策として、「工事の入札公告時に未加入対策のチラシを掲載し取り組みを周知」「建設業協会との意見交換会や建設業者向け説明会で経営事項審査の説明に併せて社会保険の未加入対策も説明」などの取り組み例が寄せられた。

約款改正では、受注者が作成して発注者に提出する請負代金内訳書に法定福利費を明示する規定を新設。国交省では請負代金内訳書に法定福利費を明示する様式も作成した。

都道府県の取り組み状況としては、15団体が規定を導入。このうち3団体では、発注者が必要と認める場合だけ元請会社に提出させるとしていた。規定の導入を予定していないのは19団体もあった。

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