2018/07/02 働き方改革法が成立/時間外労働の罰則付き上限規制、適用猶予は工事担当社員限定

【建設工業新聞 7月 2日 1面記事掲載】

改正労働基準法など計8本の法律を束ねた「働き方改革関連法」が6月29日の参院本会議で可決、成立した。全業種に時間外労働の罰則付き上限規制を導入し、19年4月1日(中小企業は20年4月1日)から施行する。これまで対象外だった建設業への規制適用は工事を担当する社員に限定して19年4月から5年間猶予。設計や調査など業務を担当する社員は19年4月からの適用となる。=2面に関連記事

働き方改革関連法は▽労基法▽雇用対策法▽労働安全衛生法▽労働者派遣法▽労働時間等設定改善特別措置法▽パートタイム労働法▽労働契約法▽じん肺法-の計8本の改正法で構成。改正労基法で定める時間外労働の罰則付き上限規制は、時間外労働の限度時間について月45時間・年360時間を一般則とする。

繁忙期は例外的に月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(同)、年720時間までの時間外労働を認める。違反した雇用主には半年以下の懲役か30万円以下の罰金を科す。

建設業に対する時間外労働の罰則付き上限規制適用は、2020年東京五輪の関連事業など一時的な需要増加で懸念される人手不足などを考慮。企業の規模に関係なく施行日から24年3月31日まで5年間猶予する。災害復旧・復興事業は月100時間未満・複数月平均80時間以内という例外規定を猶予期間終了後も適用しない。

建設業の中で5年間の規制適用猶予対象となるのは、労基法別表で定義する建設事業「土木、建築、その他工作物の建設、改造、保持、修理、変更、破壊、解体またはその準備の事業」を担当する社員。建設事業は工事全般が当てはまる。

建築設計事務所や建設コンサルタントの社員、ゼネコンや工事を行うメーカーなどの中でも、業務を担当する社員は19年4月から一般則を適用する。工事を行っていても労基法の労働者に当たらない会社役員や一人親方は猶予期間を設けない。

厚生労働省によると、施行日までに時間外労働の罰則付き上限規制の運用ルールなどを明確にするガイドラインを作る予定。ただ建設業を対象にした適用猶予対象の明確な線引きを行うかは未定という。自社で判断できない場合は「地域の労働基準監督署に問い合わせてほしい」(労働基準局監督課)と呼び掛けている。

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