2019/04/22 東京都行政書士会 建設宅建環境部の先生方と意見交換会を行いました

3月28日(木) 東京都行政書士会 建設宅建環境部の先生方と意見交換会を行いました。

今回は、常住 豊会長、田中秀人副会長をはじめ、建設宅建環境部の先生方と、経営状況分析申請、建設業財務諸表の作成、今後の書類の簡素化・電子化等や行政書士としての新たな業務についても、活発なご意見・ご要望等をいただき、充実した意見交換会となりました。


建設業財務諸表、経営状況分析申請に関する内容では、分析機関とのやり取りについて先生方よりご意見・ご指導をいただきました。
また弊社からは経営状況分析申請でよく修正になるケースや、問い合わせが多い事項についても回答させていただきました。

(東京会様)
分析機関を変更する場合に初回は3期分の書類を提出しないとなりません。3期分の書類を揃えるのが面倒で切り替えができないという話しも出ていますが、ご意見いただけますか。
(PDS)
初回は前期、前々期の書類が必要となるが、前期・前々期の財務諸表に加えて、減価償却の確認書類は前回申請時の分析結果通知書があればつけてもらうのが簡単です。
もちろん別表16をつけてもらってもいいです。
ソフトを使用して3期分入っていれば、電子申請で財務諸表も3期分データにて一度に送信できるので簡単です。

(東京会様)
分析申請で間違いが多いということですが、どんな間違いが見受けられますか。
(PDS)
経営状況分析申請書の許可年月日の間違えが多い、許可証の交付日を記入する方が多くいらっしゃいます。
経営状況分析申請書では、審査対象事業年度の処理区分と前期、前々期の日付も間違えやすいところです。
あとは減価償却実施額の間違いが多いです。

財務諸表では、棚卸資産、売掛買掛、前受収益等が建設業用の科目に振り替えられていなかったり、税効果会計科目でないのに、税効果会計の科目に計上されてしまうケース等があります。
例えば過年度法人税は「法人税、住民税及び事業税」として計上するのが正しいですが、法人税等調整額にいれてしまうとか。

これから個人事業者様の申請の時期となりますが、個人事業者では家事消費や雑収入が「完成工事高」に含まれたまま財務諸表が作成されていることが多くあります。
また、利子割引料が販売費及び一般管理費に含まれてしまったり、貸倒引当金が流動負債又は固定負債に計上されてしまっているケースも多くあります。

(東京会様)
減価償却実施額の間違いが多いということだが、具体的に教えてください。
(PDS)
まずは、減価償却費として処理されている内容かどうかを確認することです。別表16に載っていても、「減価償却費」ではなく備品消耗品費などの別科目として処理されていれば減価償却実施額として計上できませんのでご注意ください。特に別表16の7,8はご確認をお願いします。

申請方法や財務諸表作成、科目に関してもご不明点があれば事前にご相談をいただければ処理方法について説明しますのでお気軽にお問い合わせください。


東京都行政書士会 会長 常住 豊先生

建設業財務諸表について先生方よりご意見をいただきました。

(PDS)
建設業財務諸表について一部から廃止論があるようですが、どうお考えですか。
(東京会様)
現在大臣告示による建設業財務諸表を省略しようという意見がでているがこれは絶対反対です。
建設業法が、所定の勘定科目と様式を用いて財務諸表を作成・提出することを建設業者に義務付けているのは、建設業者として適正な財務諸表を作成して、工事の発注者が建設業者の経営成績や財務内容の健全性を的確に判断した上で、建設業者を選択できるようにする為です。
また建設業者にとっては、所定の様式で財務諸表が作成されることで、同業他社と比較検討することが容易になり、経営方針や自社の工事原価を改善する際の貴重な資料ともなります。
適正な財務諸表の作成・提出は、建設業法の目的である発注者保護と建設会社の健全な育成及び発展に大きく寄与しています。

一方で多くの中小建設業者が税務申告用に作成する決算書は、法人税等の課税所得の計算を目的として作成されるため財務情報が必ずしも適切に表示されているとは限りません。
勘定科目の設定は企業ごとに異なるため、完成工事高、完成工事未収入金、未成工事支出金、工事未払金、完成工事原価報告書などの建設業者にとって重要な財務情報が記載されていないことも少なくありません。
さらに決算書の様式が企業ごとに異なるため、他社の財務諸表と比較検討することが難しくなります。
従って、大臣告示に基づく財務諸表を作成しなければ建設業を営む企業について、正確な財務状況、経営内容を把握することは事実上困難です。
さらに各地方整備局、都道府県の建設業許可担当部署においては、建設業許可要件の一つである財産要件の確認資料としています。
また法令違反、虚偽申請が疑われる場合の参考資料としても活用されています。
建設業財務諸表は建設業法の目的である、発注者保護と建設業者の育成に必要不可欠の資料ですから省略しようという動きには強く反対します。


東京都行政書士会 副会長 田中秀人先生

また今後の申請書類の簡素化、電子化についてもご意見をいただきました。

(PDS)
申請書の簡素化、電子化が言われていますが、どうお考えですか。
(東京会様)
建設業についても電子化が進んでいくことは間違いなく、その流れに逆らうことはできないと考えます。
一部では、行政書士の仕事が減る、非行政書士による申請が横行するといった懸念が指摘されていますが、活用して効率的に業務を進めることで、空いた時間で建設業者様の別のお手伝いができるとの期待もあります。

電子化に反対するわけにはいきませんが、急激に進むとトラブルになる可能性も出てきます。
電子化になじまない建設業者もあり、セキュリティの強化などでやりにくくなることもあり、行政書士がサポートすることもあります。
入札参加資格申請の電子申請についてもパソコンの設定ができない業者もあり、行政書士に依頼されるケースもあります。

AI化についても議論があり、AI化が進むと行政書士の仕事の90%がAIに代わるという議論もあります。
ただこれは行政書士の仕事を書類の作成のみと考えている方の意見で、実際の行政書士の仕事は書類作成自体ではなく、お客様との打ち合わせや、裏付け書類の準備をすることが重要な仕事です。
確かに、書類を作るだけの行政書士であればAI化は脅威であると思いますが、書類を作るまでの流れを重視する行政書士はAI化が進んでも生き残ることができます。
AI化の進展は行政書士にとって決して悲観論とすることはありません。新しい業務に参入するチャンスでもあります。

また、建設キャリアアップ制度についてお話しがありました。

(PDS)
4月1日から建設キャリアアップシステムが本運用となりますが、ご意見をお伺いします。
(東京会様)
新聞記事にも出ていましたが、建設キャリアアップシステムは昨年4月から受付を開始しましたが、事業者登録は約1万社、技能者登録は約2万人に留まっています。
国の目標としては2019年度中に事業者13万社、技能者100万人の登録を目標としていますが、登録が遅れているのが現状です。
申請の不備が多いことについては建設業者様の書類を日々作成している行政書士がサポートすることで解消するのではないでしょうか。
日行連としても振興基金と協議を重ね、今後行政書士会と連携して行政書士が登録申請を代行することが認められました。
行政書士による代行申請が可能となれば、登録も進んでいくと思われます。


(左から)
東京都行政書士会 建設宅建環境部 小林裕門先生
東京都行政書士会 建設宅建環境部 次長 平野大志先生
東京都行政書士会 建設宅建環境部 部長 佐藤貴博先生
東京都行政書士会 副会長 田中秀人先生

(東京会様)
経営状況分析の電子申請はどの程度の方が使っていますか?
(PDS)
ワイズ公共データシステムの場合、現在約8割の申請が電子申請でいただいています。
ソフトにデータが入っていれば申請は簡単で、郵送日数がない分、早く結果が届きます。
(東京会様)
ワイズへの分析申請で、申請するとすぐに追加で必要な書類が表示されるのは便利ですね。

(東京会様)
すぐに結果がほしい時がありますが、すぐに結果を出してもらうことはできますか。
(PDS)
弊社では即日プランがあり、電子申請でコンビニ受取を選択いただくことで最短で3時間で結果を受け取ることができます。
即日プランの他にも、フルサービスプランでコンビニ受取ができますので、これでも1日~2日程度短縮できます。
(東京会様)
実際に即日コースで提出される例はあるのでしょうか。
(PDS)
建設業者様の本人申請で即日コースのケースが多いです。期限に間に合わず即日コースで申請するとか。
(東京会様)
行政書士からの申請であれば余裕をもって申請を行いますので、高い費用を払って即日コースを使うことは稀ではないでしょうか。
(PDS)
分析機関としても、行政書士先生からの申請は書類の不備も少なく、多くの建設業者様が行政書士先生からの申請をしていただけると申請を受け付ける側も楽になります。


東京都行政書士会 建設宅建環境部
部長 佐藤貴博先生

(東京会様)
経営状況分析の結果が出たあとで、顧客に評点を簡易に説明するのに良い資料はありませんか。
(PDS)
フルサービスプランをご利用いただくと、「分析診断書」を特典としてお付けしています。
通常は分析診断書が2枚ですが、電子申請をご利用いただくことで、分析の8指標毎に詳しい内容が分かる分析診断書を添付しております。

(東京会様)
経営状況分析の申請をした際に写真管理ソフトのCDがついてきますが、これはどう使えばいいのですか。
(PDS)
建設業者様に渡していただければと思います。通常1万円弱で販売しているソフトを行政書士先生からの申請の場合のみ無料でプレゼントしています。
多くの業者様がなんらかの写真管理ソフトを使用していると思いますが、通常数万円かけて購入していますので是非お渡しいただけばと思います。

システムについてもご意見をいただきました。

(東京会様)
元号改正への対応予定について教えてください。
(PDS)
4月15日に対応予定です。新元号が選択できたり、書類も自動で新元号に代わります。

(東京会様)
財務諸表作成で、印刷時にエラーチェックがあるが、入力時にすぐに表示してほしいですね。そうするとその場で間違いがわかります。
(PDS)
ありがとうございます。要望として承ります。


(奥から)
東京都行政書士会 建設宅建環境部 野口耕平先生
東京都行政書士会 建設宅建環境部 中田正幸先生

東京都行政書士会 建設宅建環境部の先生方、この度は意見交換会にて多くのご指導、ご提案をいただきましてありがとうございました。
今後ともワイズグループへのご指導の程よろしくお願いいたします。


会場:行政書士会館 講堂


(記事中の所属・役職等については掲載日時点の情報にて記載しています)

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お問い合わせ先 : mail:info@wise-pds.jp 、TEL:026-232-1145 (担当:山浦)

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