2019/11/29 国交省/少数応札工事で「指名競争・総合評価方式」試行/災害時活動など指名基準に

【建設工業新聞 11月 28日 1面記事掲載】

国土交通省は競争参加者が少数の維持工事を対象に「指名競争・総合評価方式」を試行する。指名競争の総合評価方式で施工体制評価点だけを技術評価点とする施工体制確認型を適用する考え。地方整備局が地域要件に加え、災害協定や災害時の活動実績などを加味し指名基準を作成する。整備局の事務所で2020年4月に始まる維持工事での試行を想定し、入札契約方式の選択肢の一つとして検討する。

国交省の有識者会議「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」(座長・小澤一雅東京大学大学院教授)の下に設置した「維持管理部会」(部会長・堀田昌英東大大学院教授)の会合を27日に開催。工事の性格などに応じた入札契約方式の選択について方向性を示した。

国交省は維持管理の中長期的な担い手確保の観点から、地域の状況に応じた適切な入札契約方式を選択することが重要との方向性を提示。これまでの一般競争入札での応札状況などを踏まえ、競争参加者が少数と想定される場合、指名競争・総合評価方式や随意契約の試行を検討する。

新たに試行する指名競争・総合評価方式は、一般競争入札を適用する予定価格6000万円以上の工事でも少数応札(2者以上で少数)が想定される場合に限って運用する。整備局ごとに地域の実情に応じた指名基準を作り、2020年度の維持工事から試行できるよう検討を進める。

一部の整備局で試行中の随意契約方式も継続。参加者の有無を確認する方式で競争性がないほど技術の特殊性が求められ、1者応札が想定される場合に限定して運用する方針だ。

直轄工事では予定価格6000万円以上の工事に一般競争入札を適用している。2018年度の契約件数(7213件)を入札契約方式別にみると、一般競争入札が6659件(92・3%)、指名競争入札が62件(0・9%)、随意契約が492件(6・8%)。維持修繕でも一般競争入札が9割近くを占めている。

応札状況の推移をみると、維持修繕は一般土木に比べ応札者が少ない。維持修繕の工種の中でも、通年の日常管理を目的とした維持工事は応札者がより少なく、年平均で3者に満たない傾向が続いている。維持工事は、24時間365日の対応や緊急時の迅速対応といった工事の性格・目的から、競争参加者が年々減少している。

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