2020/03/23 新型コロナウイルス/業界団体、自民党に経済対策要望/民間発注の急減懸念

【建設工業新聞  3月 23日 1面記事掲載】

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う急速な景気悪化で、民間による工事発注の先行きに警戒感が高まっている。感染拡大が長期化した場合、民間発注者の資金繰りが悪化し工事代金の未払いや、関係する中小建設業者の連鎖倒産が起きる可能性がある。自民党の国土交通部会(小里泰弘部会長)が19日開いたヒアリングで、全国建設業協会(全建)は連鎖倒産が発生しないよう、中小建設業者向けのセーフティーネットを整えるよう要望。公共事業費の増額も求めた。

公共工事の対応を巡っては国土交通省が直轄工事・業務で対応を公表済み。受注者に意志を確認し、申し出がある場合、一時中止や工期・履行期限延長を行う。請負代金額・業務委託料を変更するなど適切に対応する。自治体にも同様の措置を執るよう求めている。

民間工事は発注者の判断に委ねられている。工事の停止や遅延に伴い建設会社の必要経費が増加しているケースも発生している。建築資材の納期も遅れが出始めており、工期延長に伴う違約金の発生が懸念されている。

全建は民間工事で建築資材の調達難や感染者の発生などにより工期に間に合わなかった場合、標準契約約款に基づく不可抗力として工期延長が認められるよう要望した。費用増の補填も求めた。建設業が損害を負担する場合、負担軽減措置として無利子・無担保融資などの対策が必要だと訴えた。工期延長に伴う民間発注者への負担軽減措置も併せて要望した。

ヒアリングで日本建設業連合会(日建連)は、景気減速が鮮明になれば民間建設投資が一気に落ち込むと懸念を表明。公共投資を大胆かつ機動的に行うべきだと強調した。施工余力に疑義を呈する一部報道を受け、「建設投資がピーク時から3・3割減少したが、建設技能者数は2割の減少にとどまっている」と説明。「ICT(情報通信技術)活用などにより現場の生産性は著しく向上している。施工余力に問題はない」とした。

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