2020/04/21 新型コロナウイルス/都内自治体/建設関係の窓口業務も対応苦慮、対面手続きに懸念

【建設工業新聞  4月 21日 1面記事掲載】

新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令は、行政窓口による建築・開発関係の相談や許可手続きにも影響を与えている。 東京都や都内区市は宣言発令後、窓口業務の縮小や一時休止を決断。 対面でのやりとりを必要としない方法に変更するなどして、建設業を含む事業者には来庁をできる限り控えるよう協力を呼び掛けている。 一方、詳細な確認や審査を要する手続きは対面を継続せざるを得ず、行政と事業者に負担がのしかかる実態も明らかになってきた。

都は宣言解除まで、感染症関連業務などの従事者を除き、出勤する職員を2割程度に抑える方針。 建築・開発行政を担う都市整備局市街地建築部は業務を縮小し、対面での接触機会を避けるため電話やメールでの相談を勧めている。 書類提出を原則郵送に切り替えた業務もある。 事業者らには急を要さない資料閲覧などを控えるよう周知。 仮に来庁が必要な相談・手続きでは事前予約を求めるケースもある。 都内区市の建築行政を担う部署の対応もほぼ同様だ。 多くの区市が8日以降、窓口の職員数を半分程度に減らしている。 都の要請や周辺自治体の動向、地元事業者からの要望を考慮し、郵送手続きを取り入れるなど適切な対応策を検討しながら業務に当たっている。

少人数の窓口対応では「手続きに時間がかかってしまう」という現場の声もあり、「来庁時は電話で事前に相談してほしい」と呼び掛ける担当者もいる。 ただ多くの区市が「来庁者も減っているので業務は滞っていない」と現状を説明。 現時点で窓口業務の混乱はおおむね避けられているようだ。

一方、手続きの特性上、来庁しなければできない業務では現場が疲弊している実態もある。 都都市整備局市街地建築部建設業課が担当する建設業許可の新規・更新の申請事務は、取り扱う件数の多さや確認・審査作業の煩雑さなどを理由に対面での手続きを継続している。 担当者は「拙速には郵送や電子化などへの切り替えができず、対応に苦慮している」と明かす。

建設業許可は5年ごとに更新が必要で、都で扱う業務件数は年1万件に達する。 宣言発令下であっても更新期限が近づくと手続きに出向かざるを得ないため、更新対象の建設業者からも困惑の声が上がっているという。 都内では宣言発令を受け事業活動を自粛・縮小している業者も多い。 感染症のリスクも考慮すると、行政と事業者ともに当面は対面でのやりとりを避けたいのが本音だ。

同課の担当者は、国に業務実態を報告した上で建設業許可の有効期限の延長を要望したという。 延長措置は東日本大震災や2018年7月豪雨など大規模災害時に適用されたことがある。 都が15日に公表した国への緊急要望にも、経営事項審査や解体工事業登録、建築士事務所登録なども含む個別法で規定する有効期間の延長措置が国土交通省への要望事項に盛り込まれた。

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