2020/05/12 国交省/遠隔臨場、20年度は全整備局で100件試行/発注者指定は費用全額負担

【建設工業新聞  5月 12日 1面記事掲載】

国土交通省は直轄土木工事の監督・検査業務で「遠隔臨場」を積極的に実施する。2020年度の試行方針を策定。施工現場が遠隔地で監督職員が現場往復に時間がかかる工事や、構造物の立ち会い頻度が多い工事が対象。対面検査が省けるため新型コロナウイルス感染症の拡大防止策で実施する場合は発注者指定として試行費用を全額負担する。各地方整備局で10件程度を試行し、全国では100件程度実施する。

遠隔臨場はこれまで監督職員が現場で立ち会っていた臨場確認に代えて、映像データを用いて発注者の事務所内でリアルタイムに承認・確認する。発注者は現場への移動時間、受注者は立ち会い調整時間がそれぞれ削減できる。新型コロナの対策にも役立つ。

国交省は施工状況の確認作業の効率化などを目的に、段階確認や材料確認といった現場立ち会いを必要とする作業に遠隔臨場を適用。建設現場の遠隔臨場に関する「試行要領(案)」と「監督・検査試行要領(案)」を3月に策定した。より効果的に試行に取り組むとともに課題を抽出するため、20年度試行方針を取りまとめ、北海道開発局と内閣府沖縄総合事務局を含むすべての地方整備局に7日付で送付した。

対象は、段階・材料確認や立ち会いを映像確認できる工種、試行が実施可能な通信環境を確保できる現場。新規の工事は発注時、特記仕様書に遠隔臨場の試行工事であることを記載する。

施工中の工事は、受注者に要請し試行できるとの回答を得た場合、設計変更により発注者指定型として試行。新型コロナ感染拡大防止策として取り組む場合も発注者指定型で実施する。受注者から遠隔臨場の希望があった場合は受注者希望型として試行する。

発注者指定型は試行にかかる費用を発注者が全額負担する。撮影機器・モニター機器の賃料(または損料)、撮影機器の設置費(移動費)、通信費などの費用を技術管理費に積み上げ計上。ただし従来の立ち会い・確認に要する費用(共通仮設費に率計上)から追加で必要となる費用を計上する。一方、受注者希望型は全額を受注者が負担する。

日刊建設工業新聞の購読申し込みは、こちら

戻る