2020/07/02 建退共/掛け金日額320円に引き上げ/21年10月適用、予定運用利回り改定

【建設工業新聞  7月 2日 1面記事掲載】

勤労者退職金共済機構の建設業退職金共済事業本部(建退共、稗田昭人本部長)は、建退共制度の掛け金日額を現行の310円から「320円」に引き上げる。3・0%に設定している予定運用利回りは「1・3%以上1・5%以下」にする。6月30日に東京都内で開いた運営委員会・評議員会で了承した。労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の中小企業退職金共済部会の議論を経て正式決定する。2021年10月1日からの適用を目指す。

昨年実施した今後の経営状況の試算で累積余剰金の大幅な減少が判明し、予定運用利回りは「1・6%以上から1・8%以下」で検討していた。新型コロナウイルスの影響で損失が広がる可能性が出てきたため、予定運用利回りをさらに引き下げることにした。

機構は掛け金として預かった資金が退職金で支払われるまでの間、資産運用している。低金利が続き、累積余剰金は14年度末の1087億円から19年度末に630億円まで減少。21年9月末には458億円となる見通し。建退共の純資産は累積余剰金だけのため、赤字になると欠損金が発生し、経営が急激に厳しくなる。

業界を挙げ建設技能者の処遇改善が進む中、建退共は建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用し、民間工事での制度普及や適正な履行の実現に取り組んでいる。財政状況の悪化を軽減しつつも退職金の水準を確保する必要があるとして、今回の方針決定に理解を求めている。

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