2020/08/19 CCUSー料金体系見直し迷走/国交省、登録料さらに引き上げ/業界に不信感

【建設工業新聞  8月 18日 1面記事掲載】

建設キャリアアップシステム(CCUS)の料金体系見直しが混迷を深めている。国土交通省は7日に開催予定だったCCUS運営協議会の総会を延期。同日開いた業界団体との意見交換会で、技能者登録料(詳細型登録料)とID利用料を7月31日に提示したプランからさらに引き上げる考えを示した。前回の提示額で会員企業の意見を集約していた業界団体は再度の対応に追われている。

関係者によると、7日の意見交換会で国交省は料金のさらなる引き上げを提案した。技能者登録に導入を予定している2段階方式のうち、詳細型登録料を4000円から引き上げる。管理者IDの利用料も前回提示した月額換算800円から引き上げるとした。

国交省は現場利用料への過度な依存を回避しCCUSが運営できるよう料金設定を見直したと説明し理解を求めた。技能者登録の2段階方式で前提としていた登録者を簡易型は25%から50%、詳細型を75%から50%に見直して試算したという。詳細型登録料とID利用料の引き上げは数百円程度になると見られる。

運営協議会の運営委員会で今後検討する事項には、目標数値の設定やフォローアップの方法、登録支援業務の在り方などを挙げた。現場利用料の一括支払い方式の見直しや算出方法なども改めて明示した。

料金引き上げに対する方針を固めていた全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は、47都道府県の建設業協会に再度意見を聴取し18日にも集約する。近く予定される運営協議会の総会で全建の総意を伝える予定だ。

全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)や全国建設労働組合総連合(全建総連、吉田三男中央執行委員長)の幹部は再度の料金引き上げに対し「避けて通れない」「やむを得ない」と理解を示す。だが日本空調衛生工事業協会(日空衛、長谷川勉会長)の幹部は「会員企業の中で賛否が拮抗(きっこう)している」と難しい判断を迫られている状況を明かした。

CCUSは現在、加入者が増えれば増えるほど赤字が拡大している状況。運営主体の建設業振興基金(振興基金、佐々木基理事長)の経営に影響するため、国交省は10月値上げのスタンスを崩さない。運営協議会の総会で新料金体系の了承を得たい考えだ。

業界団体に求める出えん金は16億円と当初の20億円から圧縮した。システムの追加開発費用は来年度以降、運用資金から賄い業界団体へのさらなる負担は考えないとも明言した。ただ度重なる料金プランの変更に業界は不信感を募らせている。ある団体幹部は「出えんへの協力はさらにハードルが高い」としている。

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