2020/08/31 日建連/CCUS追加開発費に8億円拠出決定/山内隆司会長ら首脳が国交相に報告

【建設工業新聞  8月 31日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、山内隆司会長)は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の追加開発費用を負担する方針を決めた。国土交通省から支援要請のあった8億円を全額拠出する。技能者の処遇を改善し担い手を確保する上で必要不可欠な制度インフラとして費用負担を決断した。CCUS運営協議会に参加する各団体がCCUSの普及・活用に全員一致で取り組む体制を確立することなどを拠出条件とし、国交省に対応を求めている。

山内会長と宮本洋一、押味至一両副会長が28日に東京・霞が関の国交省で赤羽一嘉国交相と面会し、支援要請に対する日建連の対応を回答した。訪問後に山内会長は「大臣から謝意が示され、CCUSがサステナブルに運営されるよう国交省として尽力すると返答をもらった」とコメント。国交省らと連携し引き続きCCUSの普及、促進に取り組む考えを示した。

日建連は持続可能な制度になるよう、国交省らが前向きな運用改善に取り組むことを資金拠出の条件にした。回答書によると、条件には▽全員体制の確立▽事務の簡素化▽公共事業などでの義務化▽最後の資金支援-の四つを列挙した。

運営協議会に参加する団体ごとに、登録やカードタッチなどで具体的な数値目標を設定するよう求めた。確実に目標を達成できるように国交省が指導し、定期的に実施状況を確認するといったフォローアップを要請。各団体が今回の資金支援に賛同し適切に対応することも条件とした。

技能者登録で現行の煩雑な審査事務の簡素化や登録事項の見直しが必要とし、技能者や小規模事業者の代行登録事務の負担を軽減すべきだとした。2023年度からのCCUS完全実施に向け、先行する直轄工事に続き、地方公共団体や独立行政法人らが発注する全工事に対しても、義務化に必要な措置を求めた。業界の資金支援は今回が最後と念を押し、国交省として表明するよう促した。

国交省は業界に16億円の出えんを要請した。日建連は前回に続き半分を負担。会員企業にとっては前回の1・6倍となる巨額の資金拠出となる。日建連はCCUS料金引き上げにも賛同する方針を固めている。

新型コロナウイルスの収束が見通せず民間建設投資の先行きが不透明な中、日建連は資金拠出に応じた。制度維持に向け他団体がどう決断するか、動向を注視する必要がありそうだ。

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