2020/10/06 偽装一人親方契約企業に厳罰化求める声/適法なら処遇改善策も必要/国交省調べ

【建設工業新聞  10月 6日 1面記事掲載】

社会保険加入や長時間労働規制などの回避を目的に本来、雇用すべき技能者を一人親方化した「偽装一人親方」と契約している企業に対し、悪質な行為として厳罰化を求める意見があることが、国土交通省の調査で分かった。違法性や技能者の処遇悪化などを説明しても是正されない場合は取引停止も視野にさらに指導するべきだとの声も少なくない。一方、適法な一人親方に対する処遇改善策の必要性も指摘された。

国交省は5日、産学官で構成する「建設業の一人親方問題に関する検討会」の2回目の会合を東京都内で開催。6月の初会合で提示した論点に関し、検討会メンバーの建設業15団体に対する調査結果を報告した。

偽装一人親方の現状について▽増えている=3団体▽減っている=4団体▽変わらない=3団体▽把握できてない=5団体-となった。会員外の動向などが把握できず、建設業団体でも全体像がなかなかつかめないのが実情。社会保険加入促進により社員化が進むなど、偽装一人親方が減少している状況も分かった。

一人親方との契約形式は、「書面」8団体と「口頭のみ」5団体と回答が分かれた。契約内容を見ると、個人事業主として責任ある仕事というよりも、単に労働力の提供というような働き方が多いことが分かった。

明らかに実態が雇用形態にかかわらず一人親方として契約している企業に対し、「技能者の意思に反し実態とそぐわない契約を企業側が強いているのは悪質な脱法行為」「当然法的な処罰を行うべし」など厳罰化を求める意見が寄せられた。

偽装一人親方本人に対しては、従業員と比べ労災や保険、社会保障に関するリスクや違いがあることなどを説明。納得した上で雇用形態を選択できるようにするなどの対策が出た。雇用者側に改善を求めても改善されない場合、労働組合などに相談し協力してもらいながら改善するなどの意見があった。検討会は11~12月に開く第3回会合で規制逃れを目的とした一人親方化対策などを議論。来年2~3月に開催予定の第4回会合で中間まとめを行う。

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