2020/10/21 自民国交部会長・平口洋衆院議員に聞く/強靱化対策、中長期の視点で

【建設工業新聞  10月 21日 1面記事掲載】

自民党の国土交通部会長に就任した平口洋衆院議員が日刊建設工業新聞のインタビューに応じた。激甚な自然災害が多発する中、「事前防災」の重要性を強調。防災・減災、国土強靱化3か年緊急対策(2018~20年度)の後も「中長期の視点で防災・減災対策を講じなければいけない」と訴える。コロナ禍での経済再生に向け公共事業の必要性を指摘。「建設産業が他の産業をけん引していく。そんな役割を担ってほしい」と力を込める。

--大規模な自然災害が頻発している。

「気候変動により水害や土砂災害などがこれまでの想定を超えて発生している。想定の見直しが必要だし、それに伴い社会資本の整備水準も変わる。災害が起こることを前提に、事前防災の取り組みを進めなければいけない。堤防のかさ上げやダム容量の見直しなどのほか、発電・農業用利水ダムの洪水調節への活用といった工夫や知恵を総動員することが重要だ」

「河川流域のあらゆる関係者が協働して流域全体で治水対策に取り組む『流域治水』を考えることは大事だ。気候変動の影響による今の雨の降り方を見ると、直轄管理区間や指定区間など河川の管理区分の妥当性を検討することも必要ではないだろうか」

--3か年緊急対策が最終年度を迎えている。

「3か年緊急対策として実施した事前防災の取り組みが、今年の災害時に一定の効果を発揮している。防災・減災、国土強靱化対策は5年やそれ以上の中長期の視点に立ち、計画的に取り組むことが重要だ。被災後に予算化し対策を打つのでは国民の命や暮らしを守れない。被害が起きてからでは遅い」

--21年度予算の編成について。

「新型コロナウイルスの緊急事態宣言下、建設業は事業の継続が求められ、感染防止対策を徹底しながら建設現場を稼働させてきた。コロナ禍で落ち込んだ経済の早期回復には、公共事業が非常に効果がある。地域の活性化にもつながる。今後の災害に備える防災・減災、社会資本の集中的な整備、老朽インフラの計画的な維持管理、更新を着実に進めなければいけない。十分な公共事業予算を確保できるよう、強く主張していきたい」

--建設業界の現状認識と今後をどう考える。

「高齢化が進んでおり、近い将来、高齢者の大量離職による担い手の減少が見込まれることから、将来の建設業を支える若年入職者の確保が喫緊の課題となっている。働き方改革や生産性向上の取り組みを進めながら、処遇を改善していく。将来の担い手にとって魅力ある職場環境をつくっていきたい」。

1972年東京大学法学部卒、建設省(現国土交通省)入省。建設経済局調整課長、河川局次長などを経て2005年衆院議員当選。党副幹事長、国土交通部会長代理、環境副大臣、法務副大臣などを歴任。論語にある「夫子の道は忠恕(ちゅうじょ)のみ」が信条。広島2区・当選4回。広島県出身、72歳。

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