2020/10/26 国交省、厚労省/職人基本法基本計画見直し検討着手/学識者や団体にヒアリング

【建設工業新聞  10月 26日 1面記事掲載】

国土交通、厚生労働両省は、建設工事従事者安全健康確保推進法(建設職人基本法)に基づく基本計画の見直し検討に着手する。今週から11月下旬にかけて学識者や業界団体にヒアリングを行う。現行計画の取り組みの評価や見直しが必要な事項を聞き、年内をめどに論点を整理。その上で計画を改定するかも含め今後の進め方を検討する。改定する場合は閣議決定が必要になる。

2017年3月施行の建設職人基本法は建設工事従事者の安全と健康の確保に関する施策を総合的・計画的に推進し、建設業の健全な発展を図るのが目的。政府が基本理念に沿った施策を推進するための基本計画を策定し、都道府県にも政府の基本計画を踏まえた計画の策定に務めるよう明記されている。

政府は17年6月に基本計画を閣議決定。すべての建設工事を対象に従事者の安全と健康の確保に向け、政府が講じていく施策を記載。労働安全衛生法に基づく最低基準の順守徹底に加え、処遇改善や地位向上が必要だとした。策定後2~3年で施策の推進状況を調査し、必要に応じて見直すことも明記されている。

見直し検討の時期を迎えているため、国交、厚労両省は安全衛生に関する施策全般の進捗(しんちょく)や近年の情勢の変化を踏まえ、現行計画の取り組みの評価や見直しが必要な事項について関係者にヒアリングを実施する。

計画策定後に▽改正労働安全衛生法令(19年2月施行)=フルハーネス型墜落制止用器具(安全帯)の着用原則化▽働き方改革関連法(19年4月施行)=時間外労働の罰則付き上限規制(建設業は24年4月適用)、有給休暇の取得義務化▽新・担い手3法(19年6月成立)=適正な工期設定-など安全や健康の確保に関する施策が進んだ。外国人材の受け入れ拡大や新型コロナウイルス感染症への対応など状況も変化。ヒアリングでは安全衛生について幅広く意見を聴取する。

対象者は学識者が蟹澤宏剛芝浦工業大学建築学部建築学科教授。関係団体は▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽全国中小建設業協会▽建設産業専門団体連合会▽住宅生産団体連合会▽全建総連▽建設労務安全研究会▽建設業労働災害防止協会▽仮設工業会▽全国仮設安全事業協同組合▽日本鳶工業連合会▽日本機械土工協会▽全日本瓦工事業連盟▽日本建築板金協会▽労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所-が挙がっている。必要に応じて対象を追加する。

都道府県の策定状況は5月時点で「策定済み」が26団体、「策定中」が15団体、「策定するかどうか検討中」が4団体となった。

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