2021/02/09 全建、全中建/円滑施工へ、前倒しで発注者と意見交換を/傘下団体に要請

【建設工業新聞  2月 9日 1面記事掲載】

政府の2021年度予算案に盛り込まれた公共事業費が20年度補正分と合わせここ数年にない規模となるため、地域建設業が円滑な施工に向けた取り組みを強化する。全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)と全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)は傘下の会員団体に対し、できるだけ早期に都道府県の関係部局と意見交換会を開催するよう要請した。受注者側の体制や採算性などを考慮した適切な工事発注となるよう働き掛ける。入札契約手続きでの不調・不落を防ぐ狙いがある。

全建や全中建は会員企業の施工余力は十分あるものの、発注の時期や方法が適切でないと、例年以上に不調・不落が発生すると懸念している。意見交換会では、発注者に施工確保の対策を説明してもらう。協会側は発注時期や工期、積算、ロット、再入札の方式などで改善を要望する。発注見通しなどの情報も共有していく。

意見交換会の開催は2~3月など、新年度の工事が発注される前に開催するよう求めた。国土交通省が各都道府県に開催を要請する。国交省もオブザーバーとして参加する場合がある。従来から定例の意見交換会を行っている協会は、前倒しの位置付けで開催が可能。新型コロナウイルスの流行を踏まえリモート開催も認める。支部や傘下協会単位の市町村との意見交換会も同様に開催を求めている。

意見交換会で出された意見などは会議終了後に報告してもらう。全建は主催する地域懇談会など、全中建は全国ブロック別意見交換会などでフォローしていく。両団体とも会長名で協力要請を8日に通知した。

「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(21~25年度)の初年度分の経費を計上した20年度第3次補正予算が1月28日に成立した。

今後審議される21年度予算案と第3次補正予算を合わせると、国交省の公共事業関係費は7兆1929億円となる。

予算成立後には、公共事業の円滑な施工が防災・減災、国土強靱化の推進やコロナ禍からの経済の早期回復に欠かせない。不調・不落を回避するには、受発注者の緊密な意思疎通が必要との観点から、両協会は傘下団体に取り組みの強化を要請した。

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