2021/06/15 厚労省/過労死大綱改定案/建設業の適正な工期設定徹底、7月末閣議決定めざす

【建設工業新聞  6月 15日 2面記事掲載】

厚生労働省は「過労死防止対策大綱」の改定案をまとめた。新型コロナウイルスへの対応や働き方改革など社会情勢の変化に伴う過労死の発生防止策を盛り込んだ。テレワークに対応したメンタルヘルス対策の手引を策定する。副業や兼業、フリーランスへの支援も行う。建設業では長時間労働の是正に向け、適正な工期設定に関する指針や基準の周知・徹底に取り組むとした。7月末の閣議決定を目指す。

改定案では長時間労働の実態があるものの、対策があまり進んでいない中小企業などへの支援を強化する方針を打ち出した。顧客や発注者との取引で発生する長時間労働を減らすため、企業間だけでなく行政と企業間でも適正な納期・工期を設定するなど、商慣行の改善を求める。

建設業界では政府が官民の工事を対象にした「適正な工期設定ガイドライン」を策定。昨夏には中央建設業審議会(中建審)が改正建設業法に基づき「工期に関する基準」を作成し勧告した。2024年度から建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用される。規制強化に備え引き続きガイドラインや基準を周知徹底するとした。

過労死をゼロとすることを目指し、大綱の数値目標も見直す。週の労働時間が40時間以上の雇用者のうち、60時間を超えるケースを25年までに5%以下にする。年次有給休暇の取得率(19年実績56・3%)も25年までに70%へ引き上げる。

過労死防止対策大綱はおおむね3年ごとに改定している。現在の大綱は18年7月に閣議決定した。

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