2021/08/17 主要ゼネコン26社/21年4~6月期決算/手持ち工事減少で13社が減収

【建設工業新聞  8月 17日 3面記事掲載】

主要ゼネコン26社の2021年4~6月期決算が12日に出そろった。前年同期との比較で連結売上高は増加13社、減少13社と分かれた。本業のもうけを示す営業利益は16社が減少した。21年3月期は新型コロナウイルスの感染拡大で各社が受注確保に苦戦した。手持ち工事が少ない状態で22年3月期をスタートした企業も多く、期初の売り上げ計上が進まず、営業利益の確保も難しかったようだ。

減収になった企業は「手持ち工事が少なく完成工事高が増えなかった」(熊谷組)、「前年同期が五輪関連インフラの完成時期で売上高が多く、反動減になった」(五洋建設)などを理由に挙げた。減収に伴い営業利益も減少し、10社が減収営業減益となった。

業績の先行指標となる単体ベースの受注高は16社が増加した。コロナ禍で営業活動が制限された前年同期からの反動増もあった。奥村組(163・7%増)、東急建設(123・0%増)、大林組(104・5%増)の3社は2倍以上の伸びとなった。

工事採算を示す単体ベースの完成工事総利益(粗利益)率は、公表している24社のうち9社が上昇した。土木工事が好採算で全体水準を引き上げたピーエス三菱は4・4ポイント、土木で設計変更が確定した西松建設も3・9ポイント、前年同期に比べ改善した。

官公庁工事は国土強靱化関連などで土木工事の安定的な発注が見込まれる。感染症の長期化による景気低迷もあり、民間工事は厳しい状況が続く。現時点で市場環境は「コロナ前の水準には戻っていない」(経理担当者)との見方が強い。新型コロナのワクチン接種が進めば事態が好転する可能性もあるが、当面は「特命受注の確保に努める」(準大手ゼネコン)など、好採算の工事をどう確保するかが業績を左右することになりそうだ。

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