2021/08/18 国交省/安全衛生経費、確認表で適切支払いへ/先行3工種でたたき台作成

【建設工業新聞  8月 18日 1面記事掲載】

国土交通省は建設工事で安全衛生経費の適切な支払いを促すため、元請と下請の契約時などに活用できる安全衛生対策項目の「確認表」を検討する。工種ごとに必要な安全衛生関係の資機材や教育活動などをリストアップ。元下ごとの準備や費用分担の考え方を整理し認識のずれを解消する。先行的に3工種程度を抽出し、年度内にも確認表のたたき台を作成する。

確認表を作成・普及する方策は、学識者や建設業関連団体で構成する「建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大学教授)が2019年12月にまとめた提言(案)に盛り込まれた。一般的な建設工事で必要な標準対策だけでなく、施工場所や施工時期など工事特性に応じ、できる限り幅広い対策を確認表に記載する考え方を示している。

先行工種を対象とした確認表のたたき台の作成は民間に委託し、年度内に成果をまとめる。国交省不動産・建設経済局建設市場整備課が「建設業における安全衛生対策項目確認表検討業務」の委託先選定に向けたプロポーザル手続きを16日に開始した。

委託先には先行工種の選定を任せる。たたき台の作成過程で専門家によるワーキンググループから意見を受け、建設工事関係者へのヒアリングも参考にする。実際の工事現場で必要な対策項目や、元下間での対策分担の確認方法などを聞き取り調査する。

建設工事従事者安全健康確保推進法(建設職人基本法)の基本計画では、安全衛生経費が下請まで確実に支払われる実効性ある施策を検討することが求められている。同計画の見直し議論も進む中、実務者検討会の提言(案)を踏まえ具体策を準備しておく狙いがある。

提言(案)では安全衛生経費を内訳明示する「標準見積書」の作成・普及も掲げている。安全衛生経費を適切に支払い・請求している元請・下請企業を評価する仕組みの構築を見据え、専門工事業団体の協力を得ながら先行的に一部職種で確認表や標準見積書のサンプルを作成し、成果を各団体へ水平展開することを提言していた。

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