2021/08/24 公害発生現場-半数で工費増、25%で工期遅延/日建連調査、事前調査の結果反映を

【建設工業新聞  8月 24日 1面記事掲載】

日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、工事現場で発生する公害(苦情)の2020年度実態調査結果をまとめた。振動や騒音、地盤沈下などが発生した現場の約半数で工費が増加し、25%で工期が遅延していることが判明。こうした事態を未然に防ぐため、発注者による計画・設計段階での必要な調査と、その結果を工法や工期、積算などに十分反映するよう訴えている。

同様の調査は「上下水道・電力工事」「道路・鉄道工事」「公共建築工事」を対象に1年ごとのローテーションで行っており、今回は20年9月時点で施工中の上下水道・電力工事(請負金額5億円以上)の現場で実施。実際に施工していた会員37社の239現場(上水道57現場、下水道112現場、電力70現場)の実態を明らかにした。

公害の発生状況を見ると、239現場のうち「若干あり」または「あり」「相当あり」の合計が41%の99現場で、「なし」が59%の140現場。公害の種類別内訳は、最多が62件の「騒音」で全体の31%を占める。次いで「振動」45件、「交通問題」33件、「土ぼこり等」23件、「水質汚濁」と「家屋被害」が各6件と続いた。

公害の発生が工費に及ぼした影響も調査したところ、公害が発生した99現場で53%の52現場が「工費への影響がある」と回答。公害の発生を受け実施した個別対策の件数ベースで「工法の変更」の約70%、「使用機械の変更、改善」と「機械、仮設備等の設置場所の変更」の約50%、「作業時間帯の変更」の約40%で工費が増えたことも分かった。

工期に及ぼした影響も調べた結果、25%の25現場が「若干あり」もしくは「あり」「相当あり」と答えた。工期への影響度合いを実際に遅延が生じた日数で見ると、25現場のうち8割の20現場が90日未満。残りは90日以上180日未満が1件、180日以上360日未満と360日以上が各2件となっている。

日建連は現場の公害防止・軽減策として着工前に的確に予測し、その対策を明確にしてから実施する必要性を指摘。住民との話し合いや事前連絡・周知なども密に行えば公害の大部分を防止できるとみている。発注者に対する要望事項では221現場から419件の回答があり、「計画・設計段階での必要な調査を行い、その結果を工法、工期、積算等に十分反映させてほしい」が最多の93件で、全体の4割を占めている。

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