2021/08/31 国交省/住宅・建築物の脱炭素化、支援体制大幅拡充へ/既存改修など補助対象に

【建設工業新聞  8月 31日 2面記事掲載】

国土交通省は住宅と非住宅建築物の脱炭素に向けた支援体制を大幅拡充する。2022年度予算の概算要求に「住宅・建築物カーボンニュートラル化総合推進事業」の創設を盛り込んだ。関連経費350億円を計上。既存建物を対象に省エネ化改修を補助する事業を開始する。非住宅や高層住宅の木質化を支援する補助制度も設ける。

推進事業で▽既存ストックの省エネ化改修▽非住宅や高層住宅の木質化-の二つの取り組みに対する補助メニューを新設する。既存の「サステナブル建築物等先導事業」と「地域型住宅グリーン化事業」も推進事業に統合し、総合的な支援体制を構築する。補助率などの詳細は財務省と協議して詰める。

既存ストックが対象の施策はまず、国が自治体に社会資本整備総合交付金を交付。自治体は交付金を原資に個々の住宅に補助金を出す。建築物省エネ法で定める「省エネ基準」を満たすよう、断熱化改修などを施してもらう。

既存住宅のほとんどは省エネ基準を満たしていない。一定の採択要件は設けるものの、「多くの住宅が網にかかるよう幅広く門戸を開く」(国交省担当者)考えだ。国交省は自治体の体制整備に時間がかかると懸念し、個々の住宅に直接補助する形態も視野に入れる。

非住宅建築物や高層住宅の木質化に向け、新たな補助制度を創設する。SやRC造など、一般的な構造で建設する場合が対象。構造材や内装材の一部に木材を導入した場合、余分にかかった費用の一部を補助金で助ける。

国は全ての建物を対象に25年度、省エネ基準への適合を義務化する。国交省は推進事業とは別に「カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の体制整備事業」として10億円を計上。ポスターやパンフレット、業界団体向けの説明会などを通じた周知活動を展開する。国交省は「中小工務店が取り残されることのないよう、きっちりと対策を打つ」方針だ。

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