2021/09/14 国交省/データベース「xROAD」を構築/道路の現況を電子空間に再現、民間公開も

【建設工業新聞  9月 14日 1面記事掲載】

国土交通省が道路にある構造物や交通量を仮想空間で再現し、行政手続きなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)につなげる。「xROAD(クロスロード)」と呼ぶ新たなデータベース(DB)を構築し、道路構造物の情報やリアルタイムの交通量といった情報を集約。修繕工事の発注に生かしたり、道路関連の許認可手続きを電子化したりする。DBは民間にも公開し、新規事業の創出や技術のイノベーションに役立ててもらう。

xROADは国土地理院の地図や道路ネットワークのデータを基礎情報とし、さまざまなデータをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で接続する構造になる。

橋梁やトンネル、道路付属物、舗装、土工などの情報やCIMデータを道路管理者から集約。車載型センサーで取得した3D点群データも加える。電柱や水道管といった占用物件の情報、定期点検の結果なども付け加える。交通のリアルタイム情報も常時更新していく。情報はETC2・0の技術やCCTVカメラで取得。国交省は、都道府県が設置しているカメラの映像も将来的に取り入れ、DBの情報を可能な限り充実する考えだ。

国交省は年度内にもxROADに搭載する機能の一部を試験運用する。今秋に実施する「全国道路・街路交通情勢調査」では、CCTVカメラで撮影した映像を人工知能(AI)で分析し交通量を算出。直轄区間で人手による交通量観測を原則廃止する。

来年4月にはAIで修繕工事の発注を支援したり、劣化箇所の画像を認識して過去の補修方法を参照したりできるシステムを稼働する予定。特殊車両の通行許可システムも同時期に運用を開始する。現在は26日程度かかっている許可がすぐに出せるようになる。

国交省は道路占用や特殊車両停留の許可手続きの電子化にも着手する方針。新たな除雪トラックの全国配備も22年度に始める。道路構造物の配置を考慮し、搭載する装置を自動で制御する。22年度末にxROADの本格運用に入り、一部をオープンデータとして公開する。

国交省は「目的に応じたシステムを開発してDBと連携すれば、応用の可能性は無限に広がる」としている。xROADを足掛かりに道路分野でDXを推し進める。

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