2021/11/08 技術開発効率化へ企業間連携活発化/ロボット・IoT分野/キーワードは「協調領域」

【建設工業新聞  11月 8日 1面記事掲載】

建設現場の生産性向上を目指す技術開発で、企業間連携の枠組みを構築する動きが活発になってきた。施工ロボットやIoT(モノのインターネット)分野の技術連携でゼネコン16社がコンソーシアムを設立。国土交通省は人工知能(AI)による自律施工を目指す産学官の協議会を近く立ち上げる。前者は「建築」、後者は「土木」と主眼に置くフィールドは異なるが、技術開発の基幹部分を「協調領域」として確立するという目的は共通する。競争領域とのすみ分けを明確化し、効率的な技術開発につなげられるかが鍵となる。

ゼネコン16社が9月に設立した「建設RXコンソーシアム」は施工関連技術のうちロボットと機械装置、ソフトウエア、IoTに関連する分野で連携する。協調領域を確立できれば開発コストの削減や経営資源の有効活用が可能になり、現場への普及加速も期待できる。

国交省が立ち上げる協議会は土木現場を念頭に置く。建設機械の遠隔操作技術の標準化を手始めに、より高度な自動運転や自律運転の実用で環境を整備する。産業界は建設会社や建機メーカーなどの業界団体単位で参加予定。技術開発の最新状況を反映させるためロボットやAI、IoT、制御ソフト、通信など建設分野以外の企業をメンバーとして公募することも想定している。

協議会ではモデル事例の一つとして、自律施工技術で協調領域の確立を目指す土木研究所の取り組みも扱う予定。土研は建機とソフトウエアを結び付ける制御信号のルール統一を提案している。建機メーカーや建設会社と今月から意見交換を始め、共同研究も踏まえ合意形成を図る。

建築と土木で現場特性が異なるため、現時点では別々に技術連携の動きが進行する見通し。ただロボットやAI導入が現場管理の在り方を根本的に変え得ることは共通した課題といえる。国交省は特に安全管理への影響が大きいと見る。国交省の協議会では厚生労働省などと連携し、安全基準や人間とシステムの責任分担も検討する。建設業団体からはロボット活用などが先行する建築現場の動向も聞き、現場管理の新たな知見を取り入れる考えだ。

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