2021/11/10 上場ゼネコン大手4社/21年4~9月期決算/工事採算悪化で全社が営業減益

【建設工業新聞  11月 10日 1面記事掲載】

上場ゼネコン大手4社(鹿島、大林組、清水建設、大成建設)の2021年4~9月期連結決算が9日に出そろった。手持ち工事を順調に消化した一方、資材価格の上昇などで工事採算が悪化。全社が大幅な営業減益になった。生産性向上や原価低減の取り組みが22年3月期業績の鍵になりそうだ。コロナ禍の影響は限定的で業績の先行指標となる単体受注高は全社が増加した。

大幅な営業減益について、鹿島は「海外関係会社は増益だったが、建設事業の完成総利益率が低下した」ことを挙げた。大林組は「VE提案の未採用や想定以上の資材価格上昇で工事原価の低減が予定通り進まなかった」と説明。清水建設は「国内建築の受注時採算が低下している。大型工事を中心に利益改善が進まない」という。通期予想は工事損失引当金を計上した大林組が下方修正。鹿島は海外関係会社の業績向上などで上方修正した。

工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は前年同期に比べ全社が減少し、11・4%だった鹿島を除く3社が10%を割り込んだ。通期予想は大成建設が「手持ち工事、受注とも期初の想定通りに順調に進んでいる」とし、10・4%を据え置いた。

各社は鋼材やセメントなど主要資材の価格上昇を注視する。「手持ち工事は早期発注や集約発注に努めており現状は大きな影響はない」(鹿島)といった声もある。ただ各メーカーは値上げを相次ぎ表明しており、市場動向を見極めながら先手先手で対応し、影響を最小限に抑える方針だ。

業績の先行指標になる単体受注高は堅調な官庁工事に加え、コロナ禍で営業活動が制限された前年同期からの反動増もあり全社が増加した。通期予想は大成建設が大型土木工事の発注延期で600億円下方修正した。今後も大型工事を中心に厳しい競争が予想され、技術力や提案力を生かし受注競争に打ち勝つ考えだ。

海外を含めコロナ禍の影響は限定的と分析する。「国内工事はほとんど影響なく、海外事業も工事が再開し順調に回復している」(大林組)。感染の再拡大が起こる可能性もあり今後も動向を注視していく。

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