2021/12/02 国交省/労務費・法定福利費の適正確保へ働き掛け強化/元下と発注者に同時要請

【建設工業新聞  12月 2日 1面記事掲載】

国土交通省は技能労働者の賃金上昇に向け、標準見積書を活用し労務費と法定福利費を適正に確保するよう働き掛けを強める。元請と下請の両方に関係経費の内訳明示と見積もりの尊重を要請。建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及を見据え、技能者の地位や能力を見積もりに反映するよう促す。地方自治体には請負代金内訳書の法定福利費内訳額の確認を要請し、適切な履行につなげる。民間発注者にも足並みをそろえた対応を求め、建設工事に関わる関係者全体で適正契約の認識を共有する。=2面に関連記事

元請と下請に関連する建設業団体と都道府県・政令指定都市、主な民間発注者団体に関係通知を1日付で送った(自治体向けは総務省と連名)。

赤羽一嘉前国交相と建設業主要4団体が3月の意見交換会で申し合わせた「おおむね2%以上」の技能者の賃金上昇率の達成を目指し、適正価格で下請契約を結ぶよう促すのが狙い。建設企業への通知内容の実効性を高めるため、公共・民間の発注者にも労務費と法定福利費を適切に見込んだ価格での発注を求める。

下請企業には標準見積書による内訳明示と見積もり提出に努めてもらう。想定人工の積み上げで労務費を算出する方法を推奨。技能者の地位や能力に応じ標準見積書をブラッシュアップできるよう、CCUSのレベル別で労務費内訳を具体的に示すための参考例を付記した。元請企業には内訳明示された見積書の提出を下請に依頼し、見積もりを尊重するよう要請。元請が独自様式を用いる場合も専門工事業団体の標準見積書と整合を取るようにしてもらう。

受注者が発注者に提出する請負代金内訳書で法定福利費を内訳明示させている自治体は、2020年10月時点で都道府県62%、政令市40%、市区町村20%にとどまる。

今回の要請を通じまずは内訳明示を徹底してもらい、その上で内訳額の確認を求める。直轄工事では内訳額が予定価格から算出した概算額の2分の1未満の場合、元請に算定根拠の確認を指示している。自治体でも同じ基準で内訳額を確認し、不正が疑われる場合は建設業許可部局で必要な措置を取ってもらう。

民間発注者には法定福利費が確保されるよう見積もり・入札・契約の際に配慮を求めた。「建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会」を改組し設置予定の「建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会」への協力も要請した。

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