2025/07/01 国土交通省が中央建設業審議会総会を開催
6月30日(月) 国土交通省は中央建設業審議会総会を開催し、改正建設業法等を踏まえた施策の検討状況についての報告と建設工事標準請負契約約款・経営事項審査の改正の方向性について議論がなされた。
審議会の冒頭、平田不動産・建設経済局長は挨拶で
「長期にわたる我が国における建設業担い手の減少、そして担い手の確保に向けての取り組みを進めている。
また、他方で主要な資材の高騰といった状況に見舞われている。
一方で社会全体で賃上げの機運が高まっており、これまでの商慣行を見直すタイミングに来ている。
建設業行政をさらに一歩進化させていきたい」と述べられた。

1.建設業政策の最近の動向について(報告)
2.「労務費の基準」に関する検討状況について(報告)
3.建設工事標準請負契約約款の改正方針(案)について(審議)
4.経営事項審査の改正の方向性について(審議)
1.建設業政策の最近の動向について(報告)
6月に閣議決定された以下内容について報告がなされた。
(1)第1次国土強靭化実施中期計画【概要】(6月6日閣議決定)
「推進が特に必要となる施策」の事業規模として今後5年間でおおむね20兆円強程度を目途とし、資材価格・人件費高騰の影響については予算編成段階で適切に反映するということが、文言として明確に盛り込まれた。

(2)骨太の方針について(6月13日閣議決定)
「労務費の設定および実効性確保」の重要性が骨太の方針として明記された。

(3)新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版(6月13日閣議決定)
「労務費の基準」を活用した労務費等必要経費の確保と支払いのほかに、建設Gメンの体制強化や処遇の確保や取引適正化といったものが具体的に盛り込まれた。

(4)令和7年規制改革実施計画(6月13日閣議決定)
大きく2つの規制改革の方向性が盛り込まれた。
1つは請負契約に関するルールの簡素化について、これまでの書類作成の負担を軽減するという観点から「注文書・請書」に署名又は記名押印を一定の条件のもとに不要とするという方向性が盛り込まれた。
もう1つは、営業所技術者の兼任についても現状の実態調査を行うとともに、検討・対策していくということが盛り込まれた。

2.「労務費の基準」に関する検討状況について(報告)
令和6年9月に改正された建設業法にて「労務費基準の作成・勧告」がなされ、中建審のもとにワーキンググループが設置された。
ワーキンググループでは、労務費に関する基準の作成および基準の実効性確保について、これまで8回にわたって議論が重ねられている。
「労務費の基準」の作成は、技能者の賃金としてしっかりと行き渡るということが最終的な目的だというところを認識共有を図ったところであり、その達成方法として以下の①~③のような総合的な取り組みをしていこうという方針を位置付けているところである。
こちらについては令和7年11月に勧告を予定している。

3.建設工事標準請負契約約款の改正方針(案)について(審議)
中間的に現在の検討状況についての説明がなされた。
約款は大きく4つあり、

以下の3つの事項について改正する方向で検討している。

4.経営事項審査の改正の方向性について(審議)
今回はW評点の見直しを考えているということで、以下3点について説明がなされた。
内容については次回の会合で審議し、結論を出すところである。
(1)持続可能な建設業に向けた担い手の育成・確保の観点から、「技能者を大切にする企業の自主宣言」の宣言状況について加点してはどうか?
(2)災害対応力の強化の観点から、今でも建設会社が対象となる建設機械を保有していれば、加点対象となるが、加点対象となる建設機械を追加してはどうか?
(3)建設業許可の加入要件として社会保険の加入が令和2年から追加されており、審査の部分で重複があったということから、社会保険加入に関する審査項目を削除してはどうか?


※記事内の画像は配布資料より引用