2026/01/21 商習慣を変える3-標準労務費始動・3/標準見積書業界の隅々まで
【建設工業新聞 01月 21日 2面記事掲載】
◇町場の業界にも活用機運、普及なるか
建設業界の裾野は広い。「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとした見積もりや価格交渉は、公共工事と民間工事、野丁場と町場など現場ごとの慣習を問わず、建設工事のサプライチェーン(供給網)全体で共通して求められる。労務費や必要経費を内訳明示した見積書の作成に慣れていない中小零細の専門工事会社や町場の工務店、一人親方なども包含し、業界の隅々まで新たな商習慣を定着させる地道な活動が不可欠だ。
改正建設業法で内訳明示が努力義務化された▽材料費▽労務費▽法定福利費(事業主負担分)▽建設業退職金共済(建退共)掛け金▽安全衛生経費-の五つの額を記載する「標準見積書」の普及が一丁目一番地となる。国土交通省は、全職種共通となる標準見積書の「様式例」と「書き方ガイド」を公表している。
エクセル形式の表に必要なデータを入力すると見積額などを自動計算できる「見積書作成支援ツール」として利用可能。これをベースに業種・職種ごとの特性に応じた標準見積書を作成、更新することも念頭に置く。
関係団体が協力し、標準見積書のバリエーションはいくつか形になりつつある。建設産業専門団体連合会(建専連)とは複数の職種をピックアップし、実際の取引で様式例を用いる試行に取り組む。職種ごとに考慮すべき特性を洗い出し、各専門工事業団体の標準見積書に反映する。全国建設労働組合総連合(全建総連)と連携し、自らの歩掛かりが把握できていない小規模事業者向けに、必要な人工数を基に労務費を算出する簡易的な手法を採用した標準見積書を用意する。
町場を主戦場とする中小零細の工務店や一人親方向けの標準見積書も初めて作成する。町場の業界は材工分離で見積書を作成する習慣がなく、労務費の相場も見えにくくコスト競争にさらされやすい。公共工事設計労務単価と市場の実態とのギャップが特に大きい業態と考えられ、標準労務費をベースとした見積もりを定着させるのは並大抵のことではない。
全建総連傘下の首都圏建設産業ユニオン(建設ユニオン)で町場の標準見積書の作成に携わる菅原良和相談役は、「一般ユーザーの理解を得ていかなければならない」と真っ先に指摘する。個人の施主との価格交渉は、事業者間とは異なる難しさがある。改正業法に基づき発注者に求められる対応の重要性を、中小零細の工務店が懇切丁寧に毎回説明できるだろうか。住宅関係の業界関係者からは国に対し、一般消費者向けに分かりやすいパンフレットなどのツールの提供を求める声がある。
建設ユニオンは改正業法の全面施行から2日後の昨年12月14日、標準見積書のポイントを解説する学習会を早くも開いた。大工不足が深刻な町場の業界でも改正業法への期待は大きい。菅原氏は「町場の強みは地域に根差していることだ。地域の信頼を今後どう勝ち取っていくか」と先を見据える。細かな修繕などの技術力を生かした差別化や、社員化による価格競争力の強化など、各社の工夫を促す契機にもなるとみる。
建設業界の裾野は広い。「労務費に関する基準(標準労務費)」をベースとした見積もりや価格交渉は、公共工事と民間工事、野丁場と町場など現場ごとの慣習を問わず、建設工事のサプライチェーン(供給網)全体で共通して求められる。労務費や必要経費を内訳明示した見積書の作成に慣れていない中小零細の専門工事会社や町場の工務店、一人親方なども包含し、業界の隅々まで新たな商習慣を定着させる地道な活動が不可欠だ。
改正建設業法で内訳明示が努力義務化された▽材料費▽労務費▽法定福利費(事業主負担分)▽建設業退職金共済(建退共)掛け金▽安全衛生経費-の五つの額を記載する「標準見積書」の普及が一丁目一番地となる。国土交通省は、全職種共通となる標準見積書の「様式例」と「書き方ガイド」を公表している。
エクセル形式の表に必要なデータを入力すると見積額などを自動計算できる「見積書作成支援ツール」として利用可能。これをベースに業種・職種ごとの特性に応じた標準見積書を作成、更新することも念頭に置く。
関係団体が協力し、標準見積書のバリエーションはいくつか形になりつつある。建設産業専門団体連合会(建専連)とは複数の職種をピックアップし、実際の取引で様式例を用いる試行に取り組む。職種ごとに考慮すべき特性を洗い出し、各専門工事業団体の標準見積書に反映する。全国建設労働組合総連合(全建総連)と連携し、自らの歩掛かりが把握できていない小規模事業者向けに、必要な人工数を基に労務費を算出する簡易的な手法を採用した標準見積書を用意する。
町場を主戦場とする中小零細の工務店や一人親方向けの標準見積書も初めて作成する。町場の業界は材工分離で見積書を作成する習慣がなく、労務費の相場も見えにくくコスト競争にさらされやすい。公共工事設計労務単価と市場の実態とのギャップが特に大きい業態と考えられ、標準労務費をベースとした見積もりを定着させるのは並大抵のことではない。
全建総連傘下の首都圏建設産業ユニオン(建設ユニオン)で町場の標準見積書の作成に携わる菅原良和相談役は、「一般ユーザーの理解を得ていかなければならない」と真っ先に指摘する。個人の施主との価格交渉は、事業者間とは異なる難しさがある。改正業法に基づき発注者に求められる対応の重要性を、中小零細の工務店が懇切丁寧に毎回説明できるだろうか。住宅関係の業界関係者からは国に対し、一般消費者向けに分かりやすいパンフレットなどのツールの提供を求める声がある。
建設ユニオンは改正業法の全面施行から2日後の昨年12月14日、標準見積書のポイントを解説する学習会を早くも開いた。大工不足が深刻な町場の業界でも改正業法への期待は大きい。菅原氏は「町場の強みは地域に根差していることだ。地域の信頼を今後どう勝ち取っていくか」と先を見据える。細かな修繕などの技術力を生かした差別化や、社員化による価格競争力の強化など、各社の工夫を促す契機にもなるとみる。
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